あらすじ
平凡な毎日に焦りを感じながら、ビル清掃会社のパートタイマーとして働いている青年・岡田。ある日、同僚の先輩である安藤から、密かに思いを寄せるカフェ店員・ユカとの恋のキューピッド役を頼まれた彼は、ユカのカフェで高校時代の同級生・森田と再会することになる。その後、岡田はユカの口から、彼女が森田らしき人物からストーキングをされていることを知らされ、不穏な気持ちを抱き始める。かつて過酷ないじめを受けていた森田は、ある事件をきっかけに、欲望のままに無抵抗な相手を殺害していく快楽殺人者になっていたのだ……。(filmarksより)
印象的な始まり
映画前半は、ほのぼのとした日常パートが続きます。
しかし、唐突なOPにて一転。
このシーンがかなり良かった。とても印象に残る。
まさにここから始まるぞ、という強さが感じられた。
さあ、映画の始まりだ!
森田という男
今作の殺人者、森田。
役者の演技が抜群で、ああ、怖かった。そこにいるのは、演技され作られた人間ではない。一人の歴史ある生身の人間に見えた。
彼は、元から悪い人間だったのか、それとも殺人鬼にさせられたのか。今回の彼の場合は、明らかに後者ですよね。いじめという圧倒的に辛い経験。これにより、人格を壊された。それからの彼の変貌ぶりは、人が入れ替わったよう。まるで二重人格ですね。
過去の彼の方は描かれるが、現在の彼の内面の描写は、ほとんどされない。今を生きている彼が、何を望み、何のために生きていたのか。なかなか見えてこない。けれど、そのわからなさが、物語の結末と矛盾しない。人の本質などわからないし、本当にどうしようもないことなんだ、と。これが作り物ぽくなくてよかった。
人も社会もどうしようもない
彼のような存在に対して、社会は、人間は、何もできないのでしょう。無力です。人間という集団が彼を作り出してしまったのだから、その矛先は人間ですよね。彼がいじめにあってしまったことに、必然的な理由があるわけではない。強いて言うなら「運」が悪かった。そして、彼に殺された人たちも運が悪かった、と。この連鎖というのは、どうしようもないものなんでしょうかね...うーん、辛い。
そんな彼に同情して近づいたとしても、一瞬で刺されて終わりなんでしょうね、怖い。
filmarksやってます
映画好きにはオススメ。