ここがすごい
- 色彩と怪奇の融合
- 予想できないストーリー
- 女性の綺麗さと怖さ
- トランス、トリップ
これら要素にピンとくる方にオススメ。パッケージのイメージと裏腹に、かなり強烈な映画です。ショッキングなシーンもあるので注意。
詳しいストーリーや解説などは次が参考になります。ネタバレは任意で。
感想
色彩 × 怪奇
とても楽しめた「ドライブ」の監督作品。
エル・ファニングは、透けてしまいそうな雰囲気が魅力的。個人的には、「ダークシャドウ」で可愛かったベラ・ヒースコートの姿を見れたのが良かった。
・音と映像 トランスへ
非常に映像が印象的。光と暗闇が、規則的な音楽とともに切り替わっていく。その合間合間に、ぞくっとするような女たちの表情が表れる。赤い色に染まる彼女らの顔面は、とても綺麗でもありどこか怖かった。「赤」は、その後の展開の暗示なのだろうか。三角形などの記号的表現も見られた。どんな意味だったのだろう。
これら色・音が、観ている者をトランスへと誘導していく。日常から非日常へと移ること、そして、その非日常な状態こそ、トランス状態である。映画「シェイプオブウォーター」では、液体的表現がトランス的だった。この映画では、色と音が誘導を始める。意識から無意識へ。そんな無意識の領域の表現として、人間の強い欲求が見えてくる。この映画では、それは「妬み」だった。
・結末は無い
後半になるにつれ、どんどん話がわからなくなる。
トランスを表現するために、人間の物語構造そのものを壊したかったのか。人は理解できるストーリーに親しむ。これが日常なのだとしたら、非日常へとトリップさせる方法が浮かんでくる。この映画では、終盤にかけてストーリーがなくなっていく。断片的ないくつかの映像、怪奇的・禁忌的な描写の数々、どれも非日常的だ。とくに、唐突に禁忌的なアクションがやってくる。これには、面喰らうとともに、どこか意識をずらされてしまう感じがした。
そして、そこにはストーリーがない分、明確な結末も無い。見た後にいったい何が残ったのだろうか。彼女はどうなってしまったのだろうという疑問すら、何か他のものに覆い隠されてしまった気がする。かなり体験的な映画だな、と感じた。
こちらでも無意識、トランスについて考えています。よかったらどうぞ。
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