本記事のイシュー
働き方という構造をどういう観点から整理すべきか。また、日本のサラリーマンの働き方の構造的な問題点は何か。
人生は攻略できる 橘玲
不透明で、先が見えない社会。
未来のことは分からないが、過去、現在を分析することで戦略は立てられる。
今回は、鋭い分析で話題の橘玲氏の著作から、ヒントをもらってみる。
この記事を読み終えると、現状の働き方を見直すのに役に立つはずだ。
- 本記事のイシュー
- 人生は攻略できる 橘玲
- 著者 橘玲について
- 会社に属しているか、いないか
- 拡張可能な仕事、拡張できない仕事
- サラリーマンは日本だけ
- ネガティブゲームがはびこる伽藍
- スペシャリストに定年はない
- サラリーマンは絶滅していく
- 関連記事
- 追記
著者 橘玲について
早稲田大学第一文学部卒業。元・宝島社の編集者で雑誌『宝島30』2代目編集長。日本経済新聞で連載を持っていた。海外投資を楽しむ会創設メンバーの一人。2006年『永遠の旅行者』[1]が第19回山本周五郎賞候補となる[2][3]。デビュー作は経済小説の『マネーロンダリング』[4]。投資や経済に関するフィクション・ノンフィクションの両方を手がける。2010年以降は社会批評や人生論の著作も執筆している。
会社に属しているか、いないか
働き方には、大きく3つある。
クリエイター、スペシャリスト、バックオフィスだ。
これらを、会社に属しているかいないかという観点で考えることが重要だという。
会社に属していない
・クリエイター
・スペシャリスト(会社に属す場合もある)
会社に属する
・バックオフィス
日本では事実上の身分制度がまかり通っている。バックオフィス、つまり事務系が日本では非正規として扱われがちだ。正社員と非正規社員という身分制度だ。社員を身分によって差別している、これは問題だ。(この問題を働き方改革は、変えようとしている)
拡張可能な仕事、拡張できない仕事
バックオフィスの仕事は、責任も薄く、誰でもできるという利点もある。
しかし、AIはマニュアル化された仕事が得意なことは確かだ。
一方、スペシャリストについてはどうだろう。
当分の間は、AIは、優秀なスペシャリストのいい道具になり、収入を上げてくれる。
看護や介護など、共感力を必要とする職は代替されにくい。実際に、アメリカでも、工場労働者が職を失った中、ピンクカラーと呼ばれる女性の共感力を必要とする仕事はなくなっていない。男性と女性の平均収入が逆転する現象が起きた。
サラリーマンは日本だけ
海外では、すべてのスペシャリストが、「自分は何を専門にしているか」を答える。
一方、日本では、「どの会社に所属しているのか」を答える。
海外では、サラリーマンという概念は通じない。そして、自分の専門外の部署へ移動することもない。
日本の会社の大きな問題点は、スペシャリストの仕事を素人がやっていること。数年で部署を変わっていたら、専門的な知識は身につかない。
さらに衝撃的なデータがある。
日本のサラリーマンは世界で一番会社が嫌いで、自分の仕事にネガティブな感情を抱いているのだという!!!!
このデータは、何を意味するのだろうか...
ネガティブゲームがはびこる伽藍
日本の会社とは、参入が制限されていて、退出ができない。悪い評判がずっと残ってしまう。この閉鎖的な空間を、筆者は伽藍(がらん)のようだ、という。
伽藍
1 僧が集まり住んで、仏道を修行する、清浄閑静な場所。
2 大きな寺・寺院の建物。「七堂伽藍 」
閉鎖性という側面に焦点を当てて、この伽藍という言葉を筆者は使うのだろう。
学校が典型例だ。悪い評判はなかなか消えない。
伽藍では、「失敗するようなリスクはとらず、目立つことはいっさいしない」という戦略をとらざるえない。そして、悪い評判を出来るだけ無くすというネガティヴゲームになる。
このネガティヴゲームに、サラリーマンは閉じ込められることになる。会社に居場所がないのに、会社にしがみつくしかない、なんていうことになる。
だから、日本のサラリーマンは世界で一番会社が嫌い、という事態になる。
そして、さらにひどい事態を招く。
日本の会社では、スペシャルがないまま、ただ年を取っていくだけになってしまう!!
スペシャリストに定年はない
バックオフィスは会社に依存している。会社を離れた途端、キャリアがリセットされてしまう。
一方、スペシャリストは、会社に関係なく、自分の専門を金に変える力がある。だから、定年どうこうは関係がない。
自分がどちらの人間なのか見分けるために、
「定年後も同じ仕事を続けられるかどうか」
これを自問自答してみるべきだ、という。
サラリーマンは絶滅していく
サラリーマンは絶滅していく。これは著者の言葉ではあるが、他の様々な人の動向を見ていてもこの通りだと思う。
では、私たちはどうしたらいいのか。
そのために考えるヒントを、今回紹介したような本、人からもらっておくのは有効だろう。この本を買ったり、さらに情報を集めるしかない。
そして、自分で考えていくしかない。
ヒントになりそうな記事を、関連記事としてあげておくので、是非見てみてほしい。
関連記事
追記
本記事が誰かの自由につながったのなら、うれしい。