記事の内容
次の要素が好きな人におすすめな漫画を紹介します。
・民俗学的な要素が好き
・閉鎖的な村という空間が好き
・考察のあるサスペンスが好き
・怪しげなエロス
そのタイトルはズバリ、「村祀り」です。
民俗学的な考察も、エロティックな要素まで楽しめます。
今回の記事では、いくつかの見どころを紹介します。
1巻概要
“村の祀りは他言無用ーー” 民俗学に詳しい流浪の学者、三神が異国のブローカーと訪れたのは、蛇神を信仰する「忍冬村」。陸の孤島で一週間を過ごすことになった彼らは、世にもおぞましいものを目にする…。『江戸川乱歩異人館』の山口譲司が贈る現代ダーク民話!!
そもそも民俗学って??
民俗学(みんぞくがく、英語: folklore studies / folkloristics)は、学問領域のひとつ。高度な文明を有する諸国家において、自国民の日常生活文化の歴史を、民間伝承をおもな資料として再構成しようとする学問で、民族学や文化人類学の近接領域である。
ここで、タイトルにもある「祀り」の意味を確認しておきたい。 もはや、日常生活でもあまり使う機会がない言葉だ。気になった方は、改めて確認してみてほしい。
感謝や祈り、慰霊のために神仏および祖先をまつる行為(儀式)。
祀るとは
1 儀式をととのえて神霊をなぐさめ、また、祈願する。「先祖のみ霊 (たま) を―・る」「死者を―・る」
2 神としてあがめ、一定の場所に安置する。「菅原道真を―・ってある神社」
3 上位にすえて尊ぶ。
「微妙な、奥ゆかしい礼儀が、自然と忍を上に―・る結果に」〈横光・家族会議〉
どうして、「村祀り」というタイトルなのだろうか...
大まかなストーリー
在野の民俗学者である三神という男が主人公。
彼は自分のとある目的を満たすため、次々に日本各地の村を訪れていく。
そこで、何かしらの事件に巻き込まれてしまう。そして、その裏にあるその村特有の慣習が徐々に露わになっていく。やや、ミステリ要素もある。どちらかといえば、サスペンス色が強い。
彼は、事件そのものに興味があるわけではない。本分である民俗学的な事象の調査をこなしていく。だからこそ、かなりきちんとした考察が得られる。史実に基づいているものをベースとしつつ、著者独自の解釈を楽しむことができる。
・怪異、妖怪
・憑き物信仰
・宗教的な儀式
これらが、それぞれの「村」独自のものとして進化していて、いろいろなパターンを楽しめるはずだ。その村ごとに、短編として楽しめる。
エロス、性愛
もちろん、エロいシーンは物語的に盛り上がる。
しかし、民俗学的に言っても、エロス=性愛は重要だ。
なぜならば、村という閉鎖的な集団にとっては、子供を作ることが何よりも優先なのだ。村を維持するために。
そのために、村の外からくる異人をもてなす風習があったり、そこで子種をもらうこともある。
そういった性愛を正当化するために、様々な慣習が出来上がる。
例えば、村の巫女が男と交わる儀式などだ。儀式という公なイベントにすることで、性愛という営みの正当化、物語化をする。意味づけのために、様々な宗教的、民俗学的な装置が用意されるのだ。
こうして、この漫画でも、エロス的な要素の意味づけがなされる。
ここが、単なるエロ漫画と違うところだ。エロ描写に、民俗学的な意味が与えられている。ここの説明もかなりちゃんとしているもので、民俗学てきな要素に関心がある人は、納得できるだろう。
気になった方は、ぜひ読んでみてほしい。
現在、2019年12月だと、10巻まででている。
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