記事の内容
今回は、「今すぐソーシャルメディアのアカウントを削除すべき10の理由」という本を紹介する。
この本の著者はこう呼びかける。
「猫」のようになれるか?
彼らは人と暮らすようになってからも、その主導権を失ってはいない。あの勝手気儘な姿が目に浮かんでくる。
自分らしさを保ち、自分がしたい選択ができているか?
ソーシャルメディアによって、無意識的に誘導されてしまっていることの危険性をこの本は教えてくれる。ソーシャルメディア依存に自覚がある人も、ソーシャルメディアを使うのが楽しくてたまらない人も、読んでおきたい本だ。
- 記事の内容
- 今すぐソーシャルメディアのアカウントを削除すべき10の理由 ジャロン・ラニア
- 依存させる方法
- テクノロジーはなぜ最低の人間を増大させるのか
- 個人の時代にSNSをやめられるか?
- おすすめ記事
今すぐソーシャルメディアのアカウントを削除すべき10の理由 ジャロン・ラニア
著者について
なんと仮想現実界の第一人者。
彼がヴァーチャルな世界=SNSをどのように批判するのかとても興味深い。
バーチャル・リアリティは元々シュルレアリスムの詩人アントナン・アルトーが造語[20]した芸術用語であった。現在のような意味では「バーチャル・リアリティの父」[21][22]と呼ばれるジャロン・ラニアーらが普及させた。
本来、英語の "virtual"は本来「厳密には異なるがほとんど同様の」という意味であり、コンピュータ関連の文脈においては「物理的には存在しないもののそのようにみえる」という意味で用いられ、「バーチャル・リアリティ」はその一例である(他分野であるが電子工学用語の仮想接地という用語の英文は「Virtual ground」と呼ばれている。実際に接地されているわけでは無いが、理屈上接地していると言う概念である)。
10の理由
理由の10歳の項目は以下の通りだ。それも、実感としてわかりやすい指摘ではないだろうか?
細かい議論は、ぜひ本書を読んで欲しい。
理由1 ソーシャルメディアは自由意志を奪うから
理由2 ソーシャルメディアをやめることが現代の狂気に侵されないための最適な方法だから
理由3 ソーシャルメディアはあなたを最低の人間にするから
理由4 ソーシャルメディアは真実を歪めるから
理由5 ソーシャルメディアはあなたの言葉を意味のないものにするから
理由6 ソーシャルメディアは共感力を低下させるから
理由7 ソーシャルメディアはあなたを不幸にするから
理由8 ソーシャルメディアはあなたの経済的安定を脅かすから
理由9 ソーシャルメディアは政治を歪めるから
理由10 ソーシャルメディアはあなたの心を嫌っているから
いくつかのトピックをまとめる。
依存させる方法
簡単にいうならば、人間の脳の性質を利用する。
行動主義科学では、動物実験によって報酬による依存の効果が高いことがわかっている。
ソーシャルメディアでは、報酬だけではない。アメトムチを使う。ソーシャルメディア利用者は、なりすましや誹謗中傷など、ひどい経験をしたことがある。不愉快なフィードバックも、人を依存させる。
さらに、ランダム性も有効だ。人の脳は驚きを求めるように進化してきたのかもしれない。反応にランダム性があるほど、人は依存していく。
次のような動画も参考になる。
BUMMER
ソーシャルメディアのどの構造が危険なのだろうか。
それを、著者はBUMMERと呼ぶ。
「ユーザーの行動修正を売り物とし、使用料をとって一大企業帝国を築くシステム」というものだ。
このシステムは、以下のような特徴をもつ。
・注目を集めることに熱中させ最低の人間を世にはびこらせる
・人々を操縦し、できる限り不快な行動をさせる
テクノロジーはなぜ最低の人間を増大させるのか
ソーシャルメディアはあなたを最低の人間にする。あくまでも、統計上の話だ。
依存症の人たちは不安ベースに行動している。ソーシャルメディア依存の人にも、同様の傾向がみられる。
人にはもともと群れる性質がある。群れスイッチが入ってしまうと、仲間か敵かで分けるようになる。こうなると、人は自分で考える力=理性が弱まってしまう。
著者は、「自分が1番優しくなれる場所を選ぼう」と呼びかける。
個人の時代にSNSをやめられるか?
ここからは、私なりに考えてみたい。
この本がいうような危険性はあったとしても、SNSをやめられるだろうか?もちろん、SNSにはメリットがあるからだ。
例えば、これからは個人の時代だと言われる。そこでは、個人が発信する力が重要になる。実際に、タレントではないビジネスマンなども有益な情報を発信し、ツイッターでのフォロワー数も多い。
この流れはどんどん進んでいくと思う。なぜならば、その発信活動が仕事につながるからだ。
ここで大きな分かれ目があるように見える。
SNSに操作されるのは、人間の心理的な弱点を突かれ、依存させられている人たちだ。一方、そんな人たちを利用するのが、SNSをうまく使う人たちだ。彼らは自分らしさを失わずに、仕事につなげていくことができる。
しかし!!!!その境界は曖昧だと思う。
いつ、自分がSNSに依存させられてしまっているかわからない。自覚することすら難しい。なにせ人間の心理的な弱点をつくのが上手なテクノロジーが結集されているのだ。世界の超秀才たちがデザインしたのがSNSというフィールドである。少々自信があるからといって、個人が勝てるものではない。大きなリスクだと思う。
SNSを使うメリットデメリットをよくよく吟味していくべきだろう。依存症にならずに、SNSを使用できるテクニックのようなものが今後社会に求められるのではないか。
現在、本屋に行けば、禁煙の本、ダイエットの本がたくさん並んでいる。このように、今後は、「SNSに支配されない方法」といった本がさらに溢れてきそうだ。
個人的には、メリットの方は替えが効く一方、デメリットである依存症の弊害は計り知れないと思う。だからこそ、こうした本が教えてくれる情報は必須なものかもしれない。
さらなる、デメリットを知りたい人はぜひ本書を読んでみてほしい。
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