記事の内容
今回は橘玲氏の「読まなくてもいい本」の読書案内という本を紹介する。
その内容は、現代を生きる上で押さえておくべき科学の成果をまとめたものだ。それらは、社会科学まで及び、我々が今の社会を考える重要な道具になる。
現代は情報がとにかく多い。クソ情報で溢れている。
だからこそ、確からしい学問的成果を基礎にするべきだ。そのために、どんな知識をどんな本で押さえておくべきか、この本は教えてくれる。
今回の記事ではいくつかのポイントをまとめてみる。
「読まなくてもいい本」の読書案内 知の最前線を5日間で探索する
本の数が多すぎる! だから「読まなくてもいい本」を案内しよう。複雑系、進化論、ゲーム理論、脳科学、功利主義の5つの分野で知の最前線を学ぶことができる。
複雑系
マンデルブロが見つけた世界の根本法則とは?
複雑さにも、秩序がある。
世界が在るのは、複雑さにも秩序があるからに違いない!
生物や自然界には、シンプルな秩序が複雑な形を生むものがたくさんある。
単純な規則がフィードバックを繰り返すことで、複雑な組織を生み出していく。
全体と部分が相似しあう、自己相似が見られる。
これは、自然現象だけではなく、人間社会にも見られる。その例が金融市場である。
進化論
進化とは、
遺伝的変異と自然選択で繁殖度(包括血縁度)をあげることによって、生物が環境に適応するよう多様化する過程
しかし、次のような理由で誤解を受けやすい。
・進化の長いタイムスケジュールを理解できない
・個体のタイムスケールの違いを錯覚している
・人を進化の頂点だと考える
子孫ではなく、血縁度を最大化する
ドーキンスの「個体を中心に考えるのではない」というアイデア。進化の主役を個体ではなく、遺伝子にした。これがあの有名な「利己的な遺伝子」だ。
ここからさらに進む。
生き物の戦略は、「遺伝子という効用」の最大化でもある。だとすれば、動物や植物の生態系は投資や市場取引として経済学的に説明できる。
しかし、この進化論の社会への応用は、差別の原因が遺伝子的に正当化されてしまうことにもつながってしまう。だから、政治と科学の文化戦争になってしまった。
さらに、進化は私たちの心まで説明し始める。その例が「愛」だ。
男と女が分かり合えないのは、進化心理学的に言うならば、「異なる生存戦略を持つ男女は利害関係が一致しない」だ。
これら進化心理学の成果は、道徳的には受けいられないものも多い。これについて詳しく論じたのが、著者の「言ってはいけない 残酷すぎる真実」である。
政治との衝突
それでも、世界的にリベラル化は進む。
しかし、そのリベラルの実体が、政治的な正しさを優先するものに堕ちている、という。
逆に、科学のエビデンスを重視するのがサイバーリバタリアンと呼ばれる集団だ。
やはりここにも、科学的な真理と政治がぶつかり合っている。今後の社会が、こうした科学の成果をどのように受け止めるのか興味深い。
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まとめ
知の最前線への入門として面白いと思う。
参考になる本もたくさん挙げられているので、つぎにそこへ進むのがいいだろう。
ぜひ、読んで勉強してみて欲しい。