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やっぱり人は科学が苦手 アメリカ人の2割しか進化論を信じていない!?

記事の内容

 

 なぜ人は科学的に行動できないのか。

 なぜ科学による知識は正確に広まらないのか。

 なぜ人は事実を受け入れないのか。

 

科学は、なかなかうけいれられない。それはどうしてなのだろう。

 

今回は、こうした疑問に正面から取り組んだ本を紹介したい。

 

科学ジャーナリストである著者の、アメリカでのリアルな体験を通して書かれた本だ。理論的な話ではなく、リアルな人間模様をとおして、科学と市民のすれ違いを描写している。

 

それでは、目次をどうぞ。

 

 

 

 

 

 

 

ルポ 人は科学が苦手 三井誠

 

 

 

新聞社の科学記者として科学を伝える仕事をしてきた著者は、2015年、科学の新たな地平を切り開いてきたアメリカで、特派員として心躍る科学取材を始めた。だが、そこで実感したのは、意外なほどに広がる「科学への不信」だった。全米各地での取材で、地球温暖化への根強い疑問や、信仰に基づく進化論への反発の声があちこちで聞かれた。その背景に何があるのか。先進各国に共通する「科学と社会を巡る不協和音」という課題を描く。

 

 

 

専門家がSNSで発信できるようになった今でさえ、科学と市民のディスコミュニケーションは深刻だ。SNSをみていると、科学リテラシーを欠いたコミュニケーションがたくさん観察できる。

 

こうやって科学に興味がある私でさえ、自分の思い込みで色々なことを判断している。自分自身を振り返ってみても、そして、日々のSNSをみていても、この本が伝えたいことがしっくりときた。

 

人は、科学が苦手なのだ!!!

 

全然、理性的ではない。感情で日々判断しているのが、私たち人間である。

 

生きているだけで、どんどん偏見、思い込みがつよくなるのが人間なのだ。つまり、中立なはずの科学的な事実も、見る人によって歪む。つまり、見たいものだけ見るのが人間の性質なのだ。この流れは、インターネットの登場により加速してしまった。

 

科学が苦手なのも、本来無理もない。なぜなら、人間の進化の過程において、科学的思考は最近の話だからだ。むしろ、感情的なコミュニケーションを重要視するように、人間は進化してきた。

 

本書でもその点を重要視している。

 

科学的な知識をただ伝えるだけではダメなのだ。人は、そういった事実も、見たくなければ見ない生き物だ。

 

その具体例として、本書ではトランプ現象を分析している。

 

 

 

 

 

トランプ現象

トランプは、科学的事実に反することを平気で発言する。言い切った方が、市民に注目されやすいからだ。

 

けれど、嘘な発言ならば支持は得られないのではないか?

 

いや、ちがうのだ。その結果が、彼の当選である。

 

つまり、ほとんどの市民は正確さを求めていない。

 

「信じたいことを言ってくれる」から、支持するのだ。みんな、自分の信じたいことしか聞きたくない。そして、それを受け入れようとする。だから、彼は当選したのだ。

 

この流れには、米国の反科学という背景もある。もともと、反知性主義、反エリート主義が根強く残る国民性なのだという。

 

さらに、宗教の存在がある。キリスト教保守派である。彼らの一部には、進化論を否定し、創造論こそ真実だという人たちがいる。

 

 

 

 

 

 

創造論

 

いまだに創造論を信じている人が大勢いる。私たち日本人には実感できないと思う。文化の違いである。

 

しかし、本書では驚愕の事実が示される。

 

2017年の調査では、アメリカ人の2割しか進化論を信じていない。残りの人たちは、なんらかの超知性的存在、神が人類の誕生にかかわっていると考えているというのだ。

 

そのなかには、創造論こそが真実だと本気で信じている人がいる。

 

本書を読んで初めて知ったのだが、進化論を洗脳道具だとして否定し、キリスト教の教えこそが真実であるとする博物館までアメリカには存在している。

 

そこには、150mを超える大きさの「ノアの方舟」の建造物まであるのだ。その写真は圧巻だ。聖書の内容を本当にあったことだと考える人たちが実現化させた。

 

実際の写真などは、次の記事などで見てみてほしい。

dot.asahi.com

 

さらには、教育現場での確執もある。

 

教育現場で創造論を教えることは憲法違反であるという判決が出たにもかかわらず、現在でも、教えている現場があるという。保護者の方から、なぜ進化論だけを教えるのか、というツッコミがあるらしい。

 

これは、キリスト教保守派の人が多いという地域性とも関係している。

 

 

創造論も、進化論も同列に考えていいのだろうか?この本の著者も、科学は科学であり、科学に属する進化論を重要視している。

 

科学とそうでないもの。

科学と疑似科学。

科学とニセ科学。

 

これらの境界をめぐる問い、議論も、日常に近いだけあって重要なところだ。個人的にも、まずは科学の成果を利用すべきだと思う。そのためにこそ、科学リテラシーは身に着けておきたい。次の記事では、科学とそうでないものについて、分析している。

 

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理性的に考えることの難しさ

 

結局、理性的に考えることの難しさに尽きるとおもう。

 

なぜなら、科学によって、人は感情的な存在なのだということが判明してしまった。感情の生き物なのだ。

 

人々の発言が可視化されるようになった現代では、この事実を肌感覚で理解できると思う。

 

私自身、科学がすきだし、科学リテラシーを高めたいとも思っている。しかし、自分でも気が付かないような、思い込みによる判断ミスを毎日繰り返してしまっているのかもしれない。

 

一見、知識のあるインテリ層でさえ、自身の思い込みにゆがめられた世界を見ている。こうした事実を指摘したのが、話題になった『ファクトフルネス』だろう。その本では、人間が陥りがちなミスを「本能」から分析してくれる。

 

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人は、思い込みに支配された世界に生きているのだ。だから、人は他人を正当に、中立に評価できない。この不都合な事実を明らかにしたのが、『勘違いさせる力』という本だ。こちらも、人のどうしようもない習性をわかりやすく暴いている。とてもおすすめ。

 

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まとめ

 

やはり、その都度、冷静に自分の判断の確からしさを監視するしかない。そうするには、どうすればいいのか?

 

普段から、自分とは異なった意見を受け入れる練習をしてみてはどうだろうか。つまり、他者と対話することである。話すだけではなく、偏りのない本を読み、映画などの物語を体験することもいいはずだ。いろいろな他者に絶えず自分を開くべきだろう。

 

関連記事に、いろいろな科学に関する記事をまとめているのでぜひ飛んでみてほしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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