記事の内容
数学ガールというシリーズをご存じでしょうか?
今回は、その中の一冊である『数学ガールの秘密のノート 数列の広場』を読んだ感想をまとめたい。
・内容についてのまとめ
・数学の学び方
などについて、今回の記事では書いてみたい。
数学ガール 秘密のノート 数列の広場
本作は「数列」がテーマです。オセロゲームを使って数列を実際に体験したり、グラフを使って数列を見る方法を学びながら、数列の不思議な性質が明らかになっていきます。高校生グループはシグマを使って和を求める方法を学び、中学生チームは階差数列を使って数列を調べる方法を学びます。どの章も、親しみやすい数学の題材から始まって、思いがけないほど深い数学の魅力に触れる内容となっています。中高校生はもちろん、数学に関心のあるすべての社会人にとっても最良の一冊です。
1 並ぶ数、広がる数
オセロを題材に、「数列」の具体的なイメージを楽しむことができる。オセロというイメージしやすい題材から始まるのが、この本の優しいところだと思う。
そして、この本でずっと貫かれている姿勢を実感することが大事だ。
それは、「自分で調べていく」というものだ。
オセロに潜む数列の性質について、徐々に調べていく。この調べていくという感覚、姿勢が数学を勉強する上でとても大事だと思う。
一方、教科書などで数学を勉強する場合、ただただ数式や答えを与えられることになってしまう。そうではなく、自分で調べていく感覚が必要だ。そうすれば、数学する感覚を養うことができると思う。
数列を調べる具体的な方法として、「階差数列」が登場する。
2 驚異のシグマ
一般的に難しいイメージを持たれがちである「シグマ」についての勉強が始まる。
これも、シグマという数式の形と、その中身である展開式をいったりきたりすることで、丁寧に読み解いていく。
ここで分かるのが、具体例と一般化の関係である。
そして、一般化のための数式、文字の役割を実感できる。
そのために、シグマ式でいろいろと遊んでみている。いろんな具体例を考えたり、ちょっと変えたり、まさに遊び、実験する姿勢がわかる。
3 いとしのフィボナッチ
フィボナッチ数を具体例として、調査していく。この章で描かれるのが、「調べて予想を立てる」という姿勢だ。
予想をたてて、実際にその予想が証明できれば最高である。この営みこそ、数学者がやっていることの本質になる。こうした、数学的に考えるということを、実際に体感していくことができる。本当にすごい本だ!!
4 シグマったり、ルートったり
具体的な数列の問題をとおして、その様子をさらに調べる方法を学ぶ。
ここでは、数列の様子をグラフにしてみている。こうした視覚化の効果は大きい。
そして、視覚化しつつ、やはり数式で表現していく。ここでも、数学的な考え方を学ぶことができる。
数式との付き合い方を深めることの意味だ。数式によって、厳密に考えることもできるし、大らかに考えることもできる。
こうした、数学的な考え方の根っこにはなにがあるだろう?それをこの本では、「ほんとうにわかりたい気持ち」と表現している。個人的にも、とても共感できる。わかりたい気持ちを持ち続けることができたから、「数学ガール」シリーズに出会えたのだと思う。
5 サイコロ娘の極限値
つづいて、数列の極限の話にはいっていく。これも、サイコロという具体例から話が進むので、とっつきやすい。極限という概念は難しそうに見えるが、その本質をシンプルに教えてくれる。
さらに、この章がすごいのは、数学の楽しさを実感できるところだ。まるで、ミステリー小説のような伏線回収を、数学の問題を考えながら感じていくことができる。こうした適度な難しさで、この薄さで、数学の楽しさを教えてくれる本書は、やはりすごい。
極限値についても、誤解をもちやすい箇所を紹介してくれている。さらに詳しくは、次の記事がおすすめだ。
まとめ
やはり、数学ガールの凄さは、数学の勉強法がわかるところだろう。
秘密のノートシリーズでは、毎回テーマが決まっているので、さらに入りやすい。
・そのテーマについて基礎を確認できる
・数学そのものの勉強法、考え方を確認できる
この2点が際立っている。
全日本人に本シリーズはおすすめである。
ぜひ読んでみてほしい。
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