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今回は、Netflixオリジナル映画『ELI イーライ』を紹介します。
ホラー映画なのですが、ただのホラー映画ではない。
2種類の要素が混ざっている映画と言えるでしょう。ネタバレせずに見たい一作ですね。
個人的には、とても楽しめた映画でした。
それでは、ネタバレ解説を始めていきます!!
ELI イーライ あらすじ
自己免疫疾患を抱える少年が、治療のため訪れた不気味な病院で体験する恐怖を描いたNetflixオリジナルのホラー映画。4年前に重度の自己免疫疾患を発症した11歳の少年イーライは、自宅内の無菌室での不自由な生活を余儀なくされていた。両親は治療のため、ホーン医師が運営する医療施設に彼を入居させることに。不気味な雰囲気の施設内でイーライに施される治療は、苦痛を伴う恐ろしいものだった。その一方で、イーライは施設内のあちこちで心霊現象に遭遇する。そんな彼の前に、施設の近所に住む少女ヘイリーが現れる。主人公イーライ役に「はじまりへの旅」のチャーリー・ショットウェル。共演に「死霊館」のリリ・テイラー、テレビドラマ「ストレンジャー・シングス」のセイディ・シンク。Netflixで2019年10月18日から配信。
家系ホラーとしてかなり怖い
この映画のメインパートは、王道的なホラー映画だ。とくに、そのシチュエーションからいって、「家系ホラー」といえるだろう。
家系ホラーには、傑作映画が多い。『死霊館』など、多くのホラー映画の舞台は家の中だ。
自分のアレルギー治療のために、治療専用の屋敷に住むことになったイーライたち。
そこで、彼はとんでもない目にあっていく。
数々の心霊現象が起こり始めるのだ。怪しい少女の霊が見えたり、複数の霊に襲われたり、霊からのメッセージが届いたり。このホラー演出はかなり高品質。怖いシーンが盛りだくさんだ。
そして、霊からのメッセージは、「LIE」(嘘)というもの。
自分に対する治療にも、何か嘘を感じていってしまうイーライ。
霊からのメッセージのとおり、医者や親のことを信じられなくなってしまう。だれにも頼れないので、自分ひとりでこの屋敷のことを調べ始める。ロックがかかっており、普段は入れない場所にも、イーライは入ろうとする。
そのロックの暗証番号は、霊たちが教えてくれた「317」という数字だった。
資料を調べたイーライは、過去の被験者である子供たちが全員死亡していることを発見してしまう。医者たちが嘘をついていることを確信したイーライ。逃げようとするも、親からも信じてもらえず、つかまってしまう。そして、最後の治療がはじまる。
その治療が始まり、一連の真実が明かされる。
嘘をついていたのは誰だったのか??
がらりと変化するオチ
終盤に来て、一気に話の流れが変わる。
嘘をついていたのは誰か?
それは、イーライ以外の全員だったのだ。しかし、その嘘はイーライに害を与えるようなものではなく、むしろ彼を守るためのものだった。
イーライの正体は、悪魔と人間の間に生まれた子だったのだ。
彼の母親であるローズは、不妊のすえに神に祈るのではなく、悪魔に頼ってしまった。その結果できた子供がイーライだったのだ。
母と父は、イーライの中の悪魔の部分だけを取り除こうとしていたのだ。そのための治療だった。亡くなっていった子供たちは、悪魔の魂だけを取り除くことに失敗し、死んでいったのだ。それだけ、この治療は難関だということがわかる。
そう、この映画の真相は、オカルト映画だった。たしかに、伏線は結構あった。時々描かれる信仰のシーン、最新の治療ぽくない処置のシーン、なんだか冷たい父親の存在、など、後から考えれば納得がいく。
心霊映画ではなく、「宗教」がからんだオカルト映画だった。
悪魔の子だという真実を知ったイーライは、悪魔として覚醒する。
父親を殺し、シスターたちを皆殺しにする。
屋敷を炎で焼いたイーライは、ヘイリー(近所に住んでいる女の子)と、生き残った母親とともに旅に出る。
ヘイリーも悪魔の子だったのだ。このヘイリーを演じているのが『ストレンジャーシングス』でのマックスだ。このヘイリーがやや生意気でとってもキュートなところも見どころだろう。
「317」という数字の意味は?
この317という数字に何か意味があるのでは、と感じた人も多いと思う。なぜならば、キリスト教や、悪魔学において、数字は何かと意味を持つことが多いからだ。例えば、悪魔の数字として「666」などが有名である。それに、悪魔には序列があり、その数字の可能性がある。
調べてみると、とくに317という数字に意味はないようだ。おそらく、ELIという名前を上下逆にして読んだ、という意味くらいなのだろう。そうなると気になるのが、なぜ研究室の暗証番号がその番号だったのか、ということだ。これはおそらく、物語に都合のいい設定に過ぎない気がする。
悪魔の子 ローズマリーの赤ちゃん
この映画を見て、ある映画との共通点に気が付いた人も多いかもしれない。
それは、『ローズマリーの赤ちゃん』という映画だ。その映画では、ローズという女性が悪魔の子を妊娠したかもしれないという疑心暗鬼にとらわれてしまう。そして、彼女に訪れる驚愕の真実が見どころな映画だ。
設定や母親のローズという名前から、意識されて作られている気がする。
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