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今回は、『進化とは何か』という本を紹介したい。
「私たちはスポットライトの中で生きている」とドーキンスは言う。
「『現世紀』というのは膨大な時間の流れの中の小さな一スポットライトに過ぎない」のだと。
進化論を実感するために欠かせないことは、このような時間のスケール感を感じることだろう。
とんでもなく大きなスケールで時間をイメージしてみると、自ずと人間中心の視点を捨てることができる。
そうすれば、人間も進化の途上にある生命の一種に過ぎないことがわかる。
今回は、進化論を考えるためのとても基本的な入門書を紹介したい。あのリチャードドーキンスの本である。
進化とは何か リチャードドーキンス
この宇宙になぜ生命が生まれたのか。この謎のカギを握るのが「進化」という考え方だ。しかし「進化」ほど一般に誤解されていることがらもない…世界でも随一の啓蒙家であるドーキンスがイギリスのティーンズを対象に行なった名講義のほまれ高いクリスマス・レクチャーを、ベストセラー『知の逆転』で科学と一般読者の距離を一気に縮めてみせたサイエンスライターが世界にさきがけて編集・翻訳し書籍化する、知の最重要なアイデアへのガイダンス。
何点か、テーマをまとめておく。
なぜ、現在生きている生きものたちはデザインされたように見えるのか?
人間がデザインしたものと比較しつつ、ドーキンスはデザインされたように見えるものを「デザノイド」と読んでいる。
なぜ、デザノイドは誰かがデザインしたわけではないのに、デザインされたように見えるのか?
創造論では神がデザインした、と考える。
一方、進化論では自然選択という概念で説明する。
ある特徴を持った個体が生き残っていった。その積み重ねにより、見た目も変化していく。環境の中で生き残れるかどうかという選択が、長期的に生き物を進化させていく。
進化は、長い時間の中の幸運の積み重ね
目や翼のような複雑な器官が、たった一度のステップで出来上がった。こう考えてしまえば、奇跡に見えてしまう。
進化論はそうは考えない。
「進化途中の目なんて、なんの役に立つのか?」
未完成で半分だけのような器官もちゃんと存在する。単純な目、単純な翼は、ないよりも便利なのだ。
地質学的に長大な時間軸に引き伸ばしすことで、とても確率が低いことも可能にすることができる。
とてもとても小さい変化でも、とんでもなく長い時間をかければ大きな変化になる。そして、その変化とは、生物の歴史から見れば相対的には小さいものなのだ。
機械と生命の違いは?
進化論からみれば、われわれはDNAによって作られた機械であり、その目的はDNAの複製にある。
それならば、機械と生命の違いはどこにあるのだろうか。作られ方という観点から、違いを確認することができる。
遺伝子からみれば、われわれ人間のようなサイズはかなり大きい。生命は細胞の集合体だ。細胞の成長の仕方こそ、指数関数的な増殖の方法だ。
遺伝子や細胞を主役に考えてみたとき、機械との比較が際立ち、生命の性質がより分かってくる。
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とくに、進化論の観点から人間心理に迫る「進化心理学」をおすすめする。
人の心も、自然選択によってデザインされてきたのだ!!