記事の内容
この記事では、
オックスフォード&ケンブリッジ大学 世界一「考えさせられる」入試問題「あなたは自分を利口だと思いますか?」
世界トップ10に入る両校の入試問題はなぜ特別なのか。さあ、あなたならどう答える?どうしたら合格できる?難問奇問を選りすぐり、ユーモアあふれる解答例をつけたユニークな一冊!
という本を紹介します。
オックスフォードまたはケンブリッジ大学の入試面接にて出題された問題を紹介してくれる本です。そうした問に対して、答えではなく考えるヒントを著者が紹介してくれます。
それでは、実際に問題と考えるヒントをみてみましょう。
オックスフォード大学入試問題 「運命とは何ですか?」
正解ではなく、著者の視点を紹介します。
・運命論と人生という物語の意味
・決定論的世界観と自由意志
この2つの視点に注目します。
運命論と人生という物語の意味
出来事はなるべくしてそうなった、超自然の力が用意した計画にすべては従うしかない。運命とは、このようなものです。
すると、人の一生はすべて既に決められていると考えられます。
運命は人を嘲るような残酷な姿で現れ、人はそこから逃れようとあがく。こうしたモチーフは色々な物語りに登場します。運命から逃れようとあがくも、結局は予言通りになってしまう物語で有名なのが「オイディプス王」です。
運命に逆らって運命と戦う人は、英雄に見えます。彼らは、人間の物語に威厳と自尊心をもたらしてくれます。彼ら英雄のおかげで、わたしたちは超自然的存在のたんなるなぐさみものではない、と思うことができるのです。
一方、運命を受け入れる姿勢もあります。それは、禅的な英知でもあり、責任を棚上げする手段でもあります。犯罪を犯しても運命のせいにできてしまうのです。
決定論的世界観と自由意志
神から自然法則への移行も見逃せません。
科学は、宇宙に存在する因果法則を明らかにしてきました。ニュートン力学のように、この宇宙も決定論的なのではないか、と考えるのは自然です。それならば、この世の出来事はあらかじめ既に決まっているといえます。初期状態が決まれば、未来も決まってしまうのです。
こうした決定論的宇宙と、私たちの自由意志は両立するのでしょうか?
今朝食べた朝食の選択まで、あらかじめ決まっていたのでしょうか?自由に選んでいるという感覚は錯覚にすぎず、あらかじめ決められた道筋を私たちは歩かされているだけなのでしょうか。
デカルトのような二元論者たちは、心と身体は切り離せると考えました。だから、私たちの心は機械的な運命から逃れられる、としています。
しかし、心と身体が独立しているのならば、どうやって心は身体という機械に影響を与えられるのでしょうか。
哲学者たちの間でも、意見は分かれています。自由意志と機械論的な世界観が両立するのか、それとも自由意志はないのか。
量子力学の登場によって、決定論的な宇宙は崩れた、と考える人もいます。
しかし、これはこれで、わたしたちの宇宙はでたらめさに支配されることになります。すると、私たちも、運命ではなく、運にもてあそばれるだけの存在になってしまいます。
実際には、自由意志が存在するのかどうか、まだわかりません。
ただし、もし自由意志が幻想だとしても、なお自由意志が存在するかのようにふるまうのは大切だろう、と著者は述べています。
正解はない、考え続けるのを楽しんでみましょう
この本のねらいどおり、こうした問に絶対的な答えはありません。
本書のヒントのほかにも、いろいろと考えられる視点はあると思います。
個人的には、
・運命をうけいれる姿勢についてさらに深掘りたい
・決定論的世界観、自由意志という言葉の定義を、脳科学や物理学でもっと厳密にしてみたいな、と感じています。量子力学を持ち出しても、意味が曖昧なままでは誤用しちゃいそうですよね。
考え続けるのを楽しみましょう(笑)
考え続けることが、あなたの人生における楽しみを増やしてくれるかもしれません。
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