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数学は統一できるか?数学と物理への愛と理性が詰まった本紹介『数学の大統一に挑む』

記事の内容

 

数学の魅力とはなんだろう。

数学に魅力を感じる人は、数学のどこにひかれるのだろうか。

 

今回は、数学愛にみちた本を紹介したい。

『数学の大統一に挑む』という本だ。

 

この記事では、本書のざっくりとした概要をまとめたい。

 

数学好きにも、数学が苦手だけどなんだか気になる人にもとてもおすすめの本になっている。

 

 

あらすじ 数学の大統一に挑む エドワード・フレンケル

 

 

xのn乗 + yのn乗 = zのn乗

上の方程式でnが3以上の自然数の場合、これを満たす解はない。
私はこれについての真に驚くべき証明を知っているが、ここには余白が少なすぎて記せない。

17世紀の学者フェルマーが書き残したこの一見簡単そうな「フェルマーの予想」を証明するために360年にわたって様々な数学者が苦悩した。

360年後にイギリスのワイルズがこれを証明するが、その証明の方法は、谷村・志村予想というまったく別の数学の予想を証明すれば、フェルマーの最終定理を証明することになるというものだった。

私たちのなじみの深いいわゆる方程式や幾何学とはまったく別の数学が数学の世界にはあり、それは、「ブレード群」「調和解析」「ガロア群」「リーマン面」「量子物理学」などそれぞれ別の体系を樹立している。しかし、「モジュラー」という奇妙な数学の一予想を証明することが、「フェルマーの予想」を証明することになるように、異なる数学の間の架け橋を見つけようとする一群の数学者がいた。

それがフランスの数学者によって始められたラングランス・プログラムである。

この本は、80年代から今日まで、このラングランス・プログラムをひっぱってきたロシア生まれの数学者が、その美しい数学の架け橋を、とびきり魅力的な語り口で自分の人生の物語と重ね合わせながら、書いたノンフィクションである。

 

 

 

 

数学を統一できるか?ラングランズプログラム

 

現代の数学は、さまざまな領域に分かれている。

 

数の性質を探求するもの、方程式の性質を探求するもの、図形の性質を探求するもの、などだ。

 

これらは、違う概念で整理されている。つまい、互いに異なった言語のようなものだ。

 

しかし、領域が違うはずなのに、実は同じことを言っている、という例が発見されることがあった。

「なんでこんなに違うはずなのに、つながりがあるんだ??」という驚きこそ、数学、そして本書の魅力だろう。

 

発見された領域をまたぐ、普遍的な構造。

その例で有名なのは、ガロア理論やフェルマーの最終定理の証明だ。

 

著者の目的は、領域の大きく異なっているはずの数学に、魅力的なつながりを見出そうとするラングランズプログラムを進めることだ。

違う言語で書かれているが、実はより普遍的な真理があるのではないか。この探究こそ、数学の大統一である。

 

群、層、リーマン面、これらキーワードに慣れていると、本書の内容をより楽しめるはずだ。

 

著者の情熱は、数学だけにとどまらない。物理学にも、数学的な構造を見出す。とくに、場の量子論のある分野では、数学的な構造が物理現象の解明につながっている。

 

キーワードは対称性、だ。

 

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素粒子論、場の量子論などに興味がある人にとっても、とても刺激的な本だとおもう。

 

数学、そして物理学がつながっていく知的興奮を味わえる。それだけではなく、著者の数学者としての半生も描かれる。著者の数学というものへの愛と諦めない姿勢を感じ取れる一冊だ。

 

 

 

 

 

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