記事の内容
この記事では、ドラマ『アウトサイダー』のネタバレ解説をまとめます。
スティーヴンキング原作ドラマとして話題になった本作。
期待通りの出来でした!
キングらしく、ホラーミステリーというジャンルです。
この記事では、とくに以下の点を解説・考察します。
・ヤツの正体は?
・ヤツは死んだのか?
・ホリーの「テリーって誰?」という発言の謎
それでは、目次をご覧ください。
もちろん、ネタバレが含まれますのでまだ見ていない方はご注意を。
各話あらすじまとめ
1 2つのアリバイ
ジョージア州の小さな町で、男の子の惨殺死体が発見される。警察は、遺体は近くに住む11歳の少年と断定。複数の目撃者の証言や血液などの物的証拠からすぐに犯人が特定され、少年野球のコーチをしている高校教師のテリーが逮捕される。ところが、事件のあった時間、テリーは学会のために約100キロ離れた町に出張していたことが分かる。さらにそれを裏付ける証拠も見つかるのだが…。
家宅捜査されるテリーの家。その様子を見つめる謎のフードの人影があった。
テリーの家では、娘ジェッサが何者かの存在に怯えていた。あいつがいる、と。
証拠が矛盾している。
2ロアノーク
事件を担当する刑事ラルフは、拘束中のテリーに様々な質問をぶつけるが、事件の謎は深まるばかり。そんな中、テリーの裁判が始まるが、彼が警察や妻、弁護士らと共に裁判所に入廷しようとした瞬間、驚くべき事態が発生。その一件により、ラルフは事件から一時離れることになる。一方、テリーの逮捕以降、彼の娘ジェッサは夢にうなされるようになるのだが…。
裁判所に入廷しようときた時、テリーは銃で撃たれ死亡する。その様子をフードを被った謎の人物が眺めていた。
テリーは、テリーの父親に会うためにデイトンの病院を訪れていた。その時、テリーは男性の看護師とぶつかり、手首に切り傷を負ったのだという。
3謎の男
町外れの納屋で、殺人容疑をかけられていたテリーの衣服と謎の物質が発見される。その納屋を訪れたジャックは何者かに襲われ、帰宅するとその首には異様なアザが残っていた。捜査に行き詰まったラルフらは、シカゴに住む私立探偵ホリー・ギブニーに支援を要請することに。一方、ジェッサは家に現れる謎の男の伝言をラルフに伝えたいと言い出し、娘が悪い夢を見ていると考えたグローリーはラルフを呼び出し…。
発見されたテリーの指紋は、まるで老人の指紋のようだった。
ホリーというスピリチュアルな才能をもつ探偵に、事件の調査を依頼する。
4エルクーコが来る
テリーの父がいる高齢者センターを調査していたホリーは、テリーの事件の少し前にその地域で同様の殺人事件が起きていたことを知る。テリーの事件との関連性を調査すると、更にその犯人が事件前に旅行したニューヨークでも同様の事件が起きていたことが発覚する。ホリーは事件の容疑者マリアに話を聞くため、急遽ニューヨークへ向かい…。
テリーの父親を担当していた看護師ヒースは、子どもを殺害する事件を起こし収監されていた。彼は獄中で自殺した。
ヒースがニューヨークで会っていたマリアという女も、子どもを殺害する事件を起こしていた。
エル・クーコという伝承。
悪魔のような存在。
子どもを奪い、遺族の悲しみを糧とする。
5涙を飲む者
ホリーは共通点を持つ3つの殺人事件から更なる手掛かりを見つけようと奔走する。一方、ジャックは自身の体に異変が起きていることに気付き始める。そんなある日、ジーニーの元にフードを被った不気味な男が現れ、ラルフの捜査を辞めさせるよう告げる。ジーニーはそのことをラルフに話すが、ラルフがただの悪い夢だと言って信じないため、男の特徴を絵に描いてみせる。それを見たラルフは…。
ヒースのいとこトレイシーは、銃撃事件を起こそうとする。彼は射殺される。
彼の銃には、弾が装填されていなかった。
6ユダヤの吸血鬼
ホリーはラルフらに捜査の報告をする。3つの殺人事件の関連性をあげながらも、犯人は人間ではない邪悪な存在の仕業であるというその内容に、ラルフら関係者一堂は呆れかえる。その晩、ラルフの家に泊まることになったホリーは、ジーニーの証言通り不気味な男が実際に家の中にいた形跡を見つける。一方、ジャックは何者かにホリーを止めるよう操られ…。
ラルフの家には謎の訪問者の痕跡があった。謎の物質だ。
ジャックは、新たな証拠があるといい、ホリーを連れ出す。ホリーは、ジャックの首裏のアザに気づく。
7 葛藤
報告会の翌朝、早くから外出し連絡のつかないホリーに不安を覚えたラルフは、彼女の行方を探してジャックの家に向かう。その頃、ホリーはジャックとともに車で納屋に向かっていた。ふとした瞬間、ジャックの首の後ろの異様なアザを目にしたホリーは、彼に邪悪な存在が接近していることを確信すると同時に、身の危険を察知する。一方、グローリーは職場復帰を試みるが厳しい現実に直面し、ある決断をする…。
ホリーは、ジャックの隙をつき、逃亡に成功する。
ラルフは、目の前の事件を受け入れることに、葛藤する。
8化けたキツネ
ホリーたちは、邪悪な存在である“それ”がクロードの体を使って次の殺人を起こさないよう監視下に置くため、テネシーの実家に帰った彼を追う。ホリーの非現実的な論理を受け入れられず葛藤していたラルフも、事件終結のために同行する。ラルフたちがクロードの実家で彼を取り囲んでいたその夜、近くで開催中の洞窟フェアの会場で少年の誘拐未遂騒動が起き…。
少年を誘拐しようとした男の顔は、クロードだった。
9 洞窟の悲劇
ラルフはクロードそっくりの誘拐未遂犯の画像を目の当たりにし、ホリーの論理を認めざるを得なくなる。“それ”と同調しているクロードを遠ざけ捜査を進めるホリーは、一連の事件で“それ”の隠れ家が被害者親族の墓地の近くだったことから、町にある唯一の墓地に足を運ぶ。一方、ラルフは誘拐されかけた少年が、犯人に「クマの洞窟を見せてあげる」と言われたことを知り…。
クロードの親族が、洞窟事故によりある洞窟に閉じ込められたままになってしまったのだという。過去の事件だ。
その洞窟こそが、クマの洞窟であり、「やつ」の居場所だと確信する。
その洞窟を襲撃しようというラルフたちの作戦が、クロードを通して「やつ」にバレてしまう。
10真実は一つ
ホリーらが“それ”が潜伏しているに違いないと狙いをつけた洞窟へ向かうと、心を操られ正気を失ったジャックが彼らを待ち構え激しく銃撃する。多くの犠牲者が出る中、ラルフとホリーは洞窟の中に侵入し、ついに“それ”と対峙する…。
「やつ」は、ホリーに問いかける。
なぜ、俺を信じる気になったのか?
その場では答えなかったが、ラリーは後にこう答える。
「よそ者には、よそ者が分かる」
ラルフは「やつ」の顔を石で打つ。
テリーの再捜査が始まり、テリーの無罪が決まった。
ラルフは超自然的存在を信じ始め、彼の息子との再会を期待する。
ヤツの正体とは?
いろいろな文化の伝承に残る超自然的な生物。
悪魔、という表現が近い。
接触した人間の姿を、DNAレベルで借りることができる。そして、子どもを食らう。その遺族の悲しみをも食らう。
この行為を古より継続し続けてきた。
ヤツは死んだのか?
ラルフによって破壊されたように見える。
しかし、ヤツの本体が死んだのかどうか不明である。借り物の姿を破壊すれば、ヤツは死ぬのかどうか。
それに、そもそもヤツに死という概念は当てはまるのだろうか?
つまり、生物なのか、神や悪魔に近い存在なのか、判別不能である。
ヤツには、生物としてのルールよりも、神や悪魔としてのルールが見られた。ということは、神や悪魔に近い存在なのだろう。つまり、ヤツに死はない。
特定の条件さえ満たせば、ヤツは復活する可能性が高い。
それに、他の人間と接触し、その人間に乗り移ることもできていた可能性がある。今作で最も怪しいのは、ホリーだ。
ホリーの発言「テリーって誰?」の謎
ヤツにホリーが襲われたとき、ホリーは「テリーって誰?」と答える。
ここに違和感を覚えた人が多いはずだ。
ホリーはもちろんテリーを知っているはず。
ホリーはもうすでに、別人になりかけていた、ということだろうか?ヤツに乗っ取られかけていたのか?
しかし、これは違うと考察したい。
なぜならば、ヤツが乗っ取る場合、記憶の混濁はほぼないはずだからだ。それに、元々の人物と記憶を共有もできるはず。
つまり、ホリーのいつもの日常だったのだろう。ホリーはそもそも自己紹介の時に、今日の日付すらわからなくなる、と言っていた。
咄嗟のことだったから、テリーのことがすっぽり分からなくなった。
ホリーも乗っ取られているのでは?というミスリーディングのために演出だったのだと思う。
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