記事の内容
森博嗣によるWWシリーズ最新作、『君が見たのは誰の夢?』が発売されました。早速読んだので、内容のまとめと私の感想を記します。
もちろん、ネタバレが含まれるのでご注意を!!
今回も面白かった!!
それでは目次をどうぞ。
あらすじ
ドイツで受けた精密検査でロジに不具合が見つかった。詳しく
調べるため、グアトと共に日本へ帰国。情報局本部に近い病院へ
入院した。そのロジの診断データが、外部に漏洩しているという。
ロジは、まったく未知の新種ウィルスに感染している可能性が
あり、何者かがその情報を探っていると思われた。ロジを心配して
病院へ向かうグアトは、そこでロジの姉と称する女性と出会うが。
ストーリーのネタバレまとめ
ロジは謎のウイルスに感染していた。
その調査のために、ロジ、グアトは日本へ帰国する。
そこで、会った女性はロジの母親だった。
彼女は、ウイルス学者だ。
だから、ロジは母親を頼った。
(なぜ母親を選択したのかは、後で明かされる)
一方、ウイルスに感染した者たちの情報が狙われている、という情報が入る。
ロジとグアトも誘拐、監禁されてしまう。
しかし、危険性は少なく、無事逃げることに成功する。
世界一のウォーカロンメーカーであるフスが、ウイルスの情報を求め、今回の誘拐・監禁を仕組んでいた。彼らは、このウイルスの効果をあらかじめ知っていて、その効果を独占したかった、という。
では、そのウイルスの効果とは何か?
それは、人類の細胞をナチュラルに近づけること。
つまり、人類の細胞が元々感染していたウイルスだったのだ。
そして、ウイルスに感染することにより、旧細胞に戻った結果、生殖ができない問題も自然と解決される。
ロジとグアトはともに、ウイルスに感染し、二人に子供ができる。
一方で、マガタシキも登場し、グアトと共通思考について会話を交わす。
共通思考とは、夢のようなもので、すでに世界中の人々の思考に影響を与えているのだという。
君が見たのは誰の夢なのだろう?
最近、夢を見ることが増えたグアト。
その理由、その結果はまだわからない。
子どもができた??
まずは、本書最大の驚きについての感想を。
本書の最後の最後に、ロジに子どもができたことが明かされる。
ウイルス感染の診断中に、子供ができたこともわかったのだと。
それをロジは、ずっとグアトには内緒にしてきた。
ロジに子供ができたことが分かると、本書でのロジの異変に納得がいく。
いつもの彼女と比べて、より感情的で心配性だった。
マガタシキの共通思考に共感するグアトに対して、不安を投げかけるロジだった。
本書の終盤に、ロジが1人で入院するために、グアトとの別れのシーンがある。このシーンが印象的だった。おそらく、この入院で、ロジは体内から受精卵または胎児を摘出したのだと思う。今の価値観でいう出産にあたる。
だから、特別なシーンに感じた。
マガタシキの共通思考
今作には、おそらく本物のマガタシキが登場する。
それに、あのロイディまで登場する。
本書では、特に、百年シリーズでの出来事に関する記述が多かった。ファンにはとても嬉しいだろう。
共通思考と何か?
マガタシキに問うたグアトは、そのアイデアに感動する。
個人の夢に、共通思考が染み出す。
その結果到来する個の融解。
到達する場所は、『赤目姫の潮解』での様子に詳しい。共通思考の行き着く先が気になる人は、その本を読んでほしい。
グアトとロジの行方
二人の関係に大きな変化が生じた今作。
二人には子供ができた。
つまり、旧人類の価値観である。
それに、グアトはどこまで影響を受けるだろうか?
人類の進歩としての共通思考に惹かれるグアト。
旧来の価値観である子供ができたグアト。
この矛盾に彼はどんな道を見出していくのか気になる。
WWシリーズの中でも転換点と言える今作。
今後の展開がより気になる。
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