記事の内容
この記事では、『三体Ⅱ 黒暗森林』を紹介します。
内容の要約と感想です。
もちろん、ネタバレが含まれますのでご注意を。
それでは、目次をどうぞ。
第一巻のネタバレはこちらへ
ポイントを要約(ネタバレにご注意を)
面壁者とは
三体文明は「智子」を地球に送り込んだ。これにより、情報はすべて三体世界にバレてしまう。しかし、「智子」でも読めない情報がある。それは、一人の人間の脳内だけにある思考である。よって、周囲に真意を明かさずに作成を遂行できる存在が有効になる。それが、面壁者である。
面壁者は4人選ばれた。
そのうちの一人が、主人公的な存在、ルオ・ジーである。
彼らは、真意を明かすことなく、周囲に作戦の実行を強制できる。
破壁人とは
それぞれの面壁者に対して、三体側は、一人の破壁人を割り振った。
彼らの目的は、面壁者の真意を暴くこと。破壁人にバレた時点で、「智子」にもバレることを意味する。よって、三体側に作戦を妨害されてしまう。
面壁者VS破壁人という心理戦が繰り広げられる。その結果、ルオ・ジー以外の3人の面壁者の計画は全て暴かれてしまった。
黒暗森林とは?
宇宙に存在する文明同士は、理解、信頼しあうことは不可能である。そして、技術が飛躍的に発展する可能性がある。
この条件下では、他の文明を見つけたならば、すぐにその文明を破壊することが最適解となる。この仮説を黒暗森林と呼ぶ。
ルオ・ジーは、ある恒星の場所情報を全宇宙に向かって送信することで、この仮説を実証しようとした。その結果、その恒星は破壊された。ルオ・ジーはこの作戦の成功を確信する。
宇宙文明の二つの公理
・生存は文明の第一欲求である。
・文明はたえず成長して拡張するが、宇宙における物質の総量は一定である
この二つの公理をヒントに、ルオ・ジーは黒暗森林を利用することを思いついた。
ルオ・ジーの作戦とはなんだったのか
「黒暗森林」という前提を利用して、三体世界を脅すこと。
地球、三体文明の場所を全宇宙に向けて情報発信してやる、と脅した。三体世界からすれば、故郷も、移住先候補の地球のどちらも失うことになる。よって、三体世界は、ルオ・ジーの脅しに従うしか無かった。
この作戦の成功により、三体世界が地球を侵略するという未来は回避された。
感想
面壁者というアイデアが素晴らしい。技術にとてもアナログな方法で対抗している感が最高だ。
彼らの指示はすべて作戦のため、という心理構造もよい。そのため、ルオ・ジーのある種ふつうの人間らしい使い方に魅せられた。そうした普通の時間があってから、彼がやる気を出す過程の描き方もよい。
そして、ルオジーと史強のバディものとしての側面もある。彼らの友情は時空を超える。
また、面壁者を暴く破壁人の存在がうまい。彼らが真相に気付き、面壁者の前に現れるシーンが、サスペンス映画のようによくできている。
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