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「倫理の問題」とは何か【本紹介・要約】倫理を分析哲学するとても読みやすい入門書紹介

記事の内容

 

今回は、

「倫理の問題」とは何か メタ倫理学から考える

という本を紹介します。

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倫理との向き合い方を考える。学問的には、メタ倫理学というジャンルです。

 

とても勉強になった一冊でした。

 

内容も、分析哲学的で、文章、論理がとても読みやすいです。

 

それでは目次をどうぞ。

 

 

 

 

 

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要約 本書の一部を要約します

 

 

 

1 倫理ってなに? 

 

倫理には、大きく分けて4つの考え方がある。

 

・重要性基準

私たちにとって重要なものを守るにはどうすればいいか?

 

・理想像基準

これから先、私たちはどんな人になることを目指し、変わっていけばいいか?

 

・行為基準

人の意図的な行為はすべて倫理的なものである。

 

・見方基準

世界の見方そのもののこと。

 

本書は、「見方基準」の立場を推している。

 

また、「倫理の問題」には問いが含まれることに注意する。そして、問いには強さがある。

 

(一)「動物の肉を食べてもいいか」

(二)「動物の肉を食べることは良いことか」

(三)「動物の肉を食べるべきか」

(四)「動物の肉を食べねばならないか」

 

 

 

倫理の問題を明確化するポイント

 

①問われている倫理はどんな理解に基づいているか:重要性理解、人間性理解、行為理解、見方理解

②具体的にはそれ[重要なもの/人間にとって良いもの/良い行為/良い見方]は何か

③目指しているものは何か:それらの保護/より良い在り方

④どの強さで問われているのか:「~してもいいか」「~することは良いことか」「~するべきか」「~しなければならないか」

⑤使われている言葉、表現は不当に歪められたものになっていないか

⑥発言を封じられているもの、立場を声にできないものはいないか

 

 

 

 

 

 

2 倫理の問題に正解はあるか

 

倫理には、客観的な正解があるようにも見えるし、ないようにも見える。どちらの立場にもそれなりの根拠がある。よって、どちらかの立場のみが正しい、とは言いづらい。また、どちらの立場にも、その立場をとりたくなるような思い込みのしくみがある。

 

ただし、多くの正解は私たち人間社会が構築したものであることは間違いない。

 

 

 

 

 

3 正解を求めることは大事なのか

 

ローティは、真理は到達不可能なものであるとした。自分の考えに謙虚になりつつ、お互いに納得し同意していくという社会的な連帯を目指した方がいい。

 

自分の言葉を常に疑い、自分の立場が実在に近いとは考えないが、その言葉を使うしかないような者。アイロニスト、という。

 

真理にたどり着けると考えれば、そこで対話は終わってしまう。真理にたどり着けないのだから、対話を永遠に続けていこう。

 

一方で、ウィリアムズは、真理を蔑ろにしない、つまり、正確に情報を集め、正しいと思うことを誠実に語ろう、という態度を重要視した。それらが無くなれば、他者に対する不正義につながり、自分たちのアイデンティティ理解も損なう、と考えた。

 

ローティの立場に対して、なんからの真理を参照してしまっている、という批判ができる。しかし、単なる合意の成果と真理の区別はできない、とローティ側は反論した。

 

どちらの立場も、完全な自己はなく、だからこそ、他者と向き合おう、という傾向がある。

 

 

 

 

 

 

4 「よい、わるい」などの規範的な言葉の意味

 

規範的な言葉の用法

 

・感情、態度の表現

話し手の感情や態度の伝達に重きをおく。根拠に基づくとは限らない。

 

・助言、推奨

聞き手の行為を導くことに重きをおく。一定の基準に基づく。

 

もう一つ、事実の記述、という考え方もある。

 

規範的な事柄それ自体が人を動かす力があるのかどうか、というのも論点である。

 

しかし、規範的な言葉の本質に決着をつけるためには、倫理とは何かという問いに戻る必要がある。

 

 

 

 

 

 

5 結局、倫理とはなんのことか

 

倫理とは、世界との「かかわりあい」のことだ。

 

人と人、人と動物、人と自然、人と技術、これらすべてとのあいだの相互作用的なかかわりあいのことを指す。生活すべての無意識領域、つまり日常に、倫理は浸透している。

 

だからこそ、倫理は日常が揺らいだときに、とくに意識することになる。

 

倫理とは、世界とのかかわりあいのこと。それは私たちの世界の見方、私たちの世界との接し方に基づき、私たちの日常を支えている。  

倫理の問題とは、そのかかわりあいのゆらぎや危機に際して、日常を回復するためには、あるいは新たなより良い日常を生み出すためには、どうしたらいいかを問うもの。

 

 

 

倫理を外側から揺らす問い。倫理にはほんとうに従わなければならないのか。これは、倫理に対する懐疑論だ。つまり、倫理の知識をこれ以上増やしても意味はない。世界とのかかわりあいをもう一度信頼できるのか、こそが論点である。

 

私たちの日常の根底には偶然性があり、不意に壊れる瞬間が訪れる。だが、偶然性があるからこそ、世界のかけがえのなさに気づくことができる。この過程は見方の変化であり、倫理的な成長といえる。

 

ゆえに、見方基準が基礎にあり、それぞれの見方ごとに、重要なもの、理想像、行為の仕方が決まってくる。

 

倫理とは何かという問いに対する本章の結論は、倫理を私たちの日常を支える、世界とのかかわりあいと捉えるということでした。この結論に従って考えるなら、様々な倫理学理論は、そのなかで何を世界に含まれるものと捉えるか、何をかかわりあいと捉え、それにとって必要なものを何とみなすかで、それぞれの主張を行っているように思われます。この「捉え方」を根本に置く点で本書は見方の倫理に肩入れしているということになります。

 

 

 

 

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