記事の内容
この記事では、周木律の堂シリーズの読む順番を紹介します。
そして、簡単な感想を添えます。
ネタバレなしですので、購入する際の順番整理にお使いください!!
それでは目次をどうぞ。(目次で紹介する順番で読んでみてください。)
「堂シリーズ」の魅力
数学的なテーマ。
そのテーマに関わる建築物。
建築物の仕掛けを利用したトリック。
理系的、数学的な会話。
ミステリーを楽しめるシリーズ。
1 冊目 眼球堂の殺人
新たな理系&館ミステリ。シリーズ第一作神の書、“The Book”を探し求める者、放浪の数学者・十和田只人(とわだただひと)がジャーナリスト・陸奥藍子と訪れたのは、狂気の天才建築学者・驫木煬(とどろきよう)の巨大にして奇怪な邸宅“眼球堂”だった。二人と共に招かれた各界の天才たちを次々と事件と謎が見舞う。密室、館、メフィスト賞受賞作にして「堂」シリーズ第一作となった傑作本格ミステリ!
面白い!!ミステリーでは建築を利用した作品はたくさんあるが、質が高い一作。
タイトルである「眼球堂」がちゃんと効いている。
詳細な解説はこちらで!
2冊目 双孔堂の殺人
二重鍵状の館、「Double Torus(ダブル トーラス)」。警察庁キャリア、宮司司(ぐうじつかさ)は放浪の数学者、十和田只人(とわだただひと)に会うため、そこへ向かう。だが彼を待っていたのは二つの密室殺人と容疑者となった十和田の姿だった。建築物の謎、数学者たちの秘された物語。シリーズとして再構築された世界にミステリの面白さが溢れる。「堂」シリーズ第二弾。
幾何学。
トーラス。
2作目から十和田が犯人かも、というなかなかの展開。
数学の説明が多め。この説明と事件の真相がもっと結びついていることを期待した。ちょっと物足りず。数学の話題がけっこう本格的な分、事件の真相部分がややあっさりに見えてしまう。温度感が違うというか。
裏には、あの人物の存在が見え隠れする。
3冊目 五覚堂の殺人
メフィスト賞受賞シリーズ第三弾! 有り得ぬ館と哲学者の遺言とが惨劇を呼ぶ。放浪の数学者、十和田只人は美しき天才、善知鳥神に導かれ第三の館へ。そこで見せられたものは起きたばかりの事件の映像――それは五覚堂に閉じ込められた哲学者、志田幾郎の一族と警察庁キャリア、宮司司の妹、百合子を襲う連続密室殺人だった。「既に起きた」事件に十和田はどう挑むのか。館&理系ミステリ第三弾!
テーマはフラクタル。
舞台は五角形の館。そこで起こる連続殺人。
今回のフラクタルというヒントは比較的分かりやすいはず。事件の構造との繋がりも見えやすい。
一つではなく、たくさんのトリックがある。
物語としても、語り手の視点が複数あるため、テンポがよく飽きない。
そして、あの人物がもろに登場する。十和田との理系であり哲学的な会話。
フラクタル 『燃える船』という絵が素敵。単純な規則なのに複雑な生成。
4冊目 伽藍堂の殺人
“堂”シリーズはついにここまできたか 解説 村上貴史(ミステリ書評家) 謎の宗教団体・BT教団の施設だった二つの館の建つ伽藍島。リーマン予想解決に関わる講演会のため訪れた、放浪の数学者・十和田只人と天才・善知鳥(うとう)神、宮司兄妹。その夜、ともに招かれた数学者二人が不可能と思われる“瞬間移動”殺人の犠牲となる。秘められた不穏な物語がさらに動く“堂”シリーズ第四弾。
舞台は島。
数学テーマは、「バナッハタルスキのパラドクス」。
このシリーズを加速させる一冊。
トリックも凄まじいし、オチもすごい。
舞台となる島の様子がぶっ飛んでいて、想像するだけで迫力あるし、怖い。スケールの大きい、構造、建築、仕掛け。
シリーズものだからこそできる仕掛けも楽しめる。
5冊目 教会堂の殺人
館で待つのは、絶望か、祈りか。天才数学者が仕掛ける究極の罠!訪れた者を次々と死に誘う狂気の館、教会堂。失踪した部下を追い、警察庁キャリアの司は館に足を踏み入れる。そこで待ち受けていたのは、水死・焼死・窒息死などを引き起こす数多の死の罠!司の足跡をたどり、妹の百合子もまた館に向かう。死のゲームと、天才数学者が求める極限の問いに、唯一解はあるのか!?
こうきたか!!
テーマはゲーム理論。「囚人のジレンマ」が出てくる。ということは。。。?
これまでのシリーズと同じく、建築の仕掛けは手が混んでいる。しかし、メインはそこにはない。「ゲーム理論」というテーマの方により焦点が当たっていた。ネタバレになるので深くは言えないが、自分を見つめ直し、究極の選択がキモになる。
シリーズに出てきたキャラたちが総活躍。シリーズを読んできた人むけの驚きが詰まっている。
いよいよ終わりに近づいている感がある、決着前の一冊。
6冊目 鏡面堂の殺人
すべての事件【ものがたり】はここから始まった。謎は原点【ゼロ】に収束する――鏡の館が写す過去と現在。異形の建築家が手掛けた初めての館、鏡面堂。すべての館の原型たる建物を訪れた百合子に、ある手記が手渡される。そこには、かつてここで起きたふたつの惨劇が記されていた。無明の闇に閉ざされた密室と消えた凶器。館に張り巡らされた罠とWHO、WHY、HOWの謎。原点の殺人は最後の事件へ繋がっていく!
テーマは相対性理論。
過去の事件を推理することがメイン。
堂のトリックもやや控えめ。
シリーズの終わりに向けての準備、整理という立ち位置。この一冊だけでのインパクトは薄い。
このシリーズのラスボスの正体に迫る。
7冊目 大聖堂の殺人
ついに対峙する本作のラスボス。因縁の対決が描かれる。
登場する建築トリックも健在。
しかし、因縁の対決部分に焦点が当てられ、トリックそのものに真新しさは少ない。
シリーズをとして描かれた人間模様が決着する。
十和田の決断に注目。
全体的な感想
ミステリーとしては、眼球堂、五角堂、伽藍堂あたりが好き。建築物を利用した大掛かりなトリックの刺激が楽しかった。新しさも感じる。この辺りはシリーズ全体を追っていない読者たちにもおすすめしたい。
そして、本シリーズの魅力は、登場人物たちの役割だ。途中で、役割が大きく展開、転換する。この予想外の動きも良かった。
ただし、逆にシリーズの意味を持たせようとして、その後の展開が縛られてしまったようにも見える。無理に繋げなくても良かったのでは。
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