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時間の終わりまで【読書メモ・感想】宇宙と生命はなぜこうなっているのか?この後どうなるのか?

記事の内容

今回は、「時間の終わりまで」という本を紹介する。

 

タイトルから素敵すぎる。詩的なタイトルだが、中身はゴリゴリの科学書だ。

 

この本が扱うスケールはとても大きい。時間の始まりから終わりまで扱う。それは、宇宙と生命の歴史だ。宇宙には終わりがある。にもかかわらず、なぜ生命は存在しているのか。

 

宇宙と私たち生命の関係が見どころである。もちろん、生命の意味というものを考えたくなる。

 

全体の読書メモをまとめていく。

それでは目次をどうぞ。

 

 

 

 

 

 

時間の終わりまで 物質、生命、心と進化する宇宙

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第1章 永遠の魅惑 始まり、終わり、そしてその先にあるもの
第2章 時間を語る言葉 過去、未来、そして変化
第3章 宇宙の始まりとエントロピー 宇宙創造から構造形成へ
第4章 情報と生命力 構造から生命へ
第5章 粒子と意識 生命から心へ
第6章 言語と物語 心から想像力へ
第7章 脳と信念 想像力から聖なるものへ
第8章 本能と創造性 聖なるものから崇高なるものへ
第9章 生命と心の終焉 宇宙の時間スケール
第10章 時間の黄昏 量子、確率、永遠
第11章 存在の尊さ 心、物質、意味

 

 

 

 

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2章 物理法則、エントロピー、時間

 

 

  • 物理法則は過去と未来を区別しない。それならば、未来と過去が違うことを物理法則はどう説明するのか。
  • エントロピーは増大する。しかし、時間とともに増加することしか許されないわけではない。エントロピーは減少してもよい。つまり、正確にはこうなる。

 

熱力学第二法則が教えるところによれば、未来のエントロピーは今より大きくなる可能性が圧倒的に高いから、未来は今とは違ったものになる可能性が圧倒的に高いということになる。

 

 

  • エントロピーが流れるためには、熱が流れる必要がある。
  • 熱を与えられると、低温環境の方がエントロピーが増大しやすい。
  • 蒸気機関が仕事の1サイクルを完了するたびに、エントロピーをリセットしなければならない。エントロピーを排熱として外に放出している。
  • エネルギーが系を通り抜ける時、エネルギーはエントロピーを運び去り、系のエントロピーを下げる、つまり、秩序を維持したり生成したりできる。

 

  • 宇宙は底なしに廃熱を吸収してくれるのか?
  • 生命はエントロピックツーステップを永遠に踊り続けることができるのか?

 

 

 

 

 

3章 なぜエントロピー増大の法則があるのに、宇宙にはこんなにも秩序があるのか

 

 

  • なんらかの条件がそろい、低エントロピーと秩序が生まれた。その結果として、ビックバンが起こり、インフレーションにつながり全体のエントロピーが下がった。
  • エントロピー増大の道のりには障害がある。
  • 重力の影響が無視できないくらい物質があれば、恒星という秩序がうまれる。核力により恒星は維持され、集まった物質たちがもつエントロピーを宇宙に放出し続ける。
  • 恒星も生命も、物質に閉じ込められたエントロピーを解放するために、宇宙が利用している一つの手段であるなのだ。

 

私はそのために、秩序ある構造(主として野菜や、木の実や、穀物)を摂取してゆっくり燃焼させることでエネルギーを解放し(私はそのエネルギーを、酸化還元反応で食物から抽出した電子にエネルギーの階段を下りさせ、最終的には私が吸い込んだ酸素と結合させることで得た)、そのエネルギーを使ってさまざまな代謝活動に動力を与え、その活動の老廃物と熱を介してエントロピーを環境に捨ててきた。

※第4章から引用

 

 

 

 

 

 

4章 構造から生命へ

 

 

  • 水分子の分極は、生命の誕生に本質的に重要。

水は、生命の物質にして母胎であり、生命の母にして培養液である。水なくして生命はない。皮膚を作ることを覚えたとき、生命は海を離れることができた。皮膚は水を入れておく袋なのだ。われわれは水を内部に取り込みながら、今も水の中で生きている

 

 

  • あらゆる生命で、情報の持ち方とエネルギーの使い方は共通している。
  • エネルギーの利用方法の実態は酸化還元反応だ。電子が酸化還元反応の階段をポンポンと降りていく、と著者は言い換えている。こうして電池が充電され、動力となる分子ATPの合成に使われる。

 

  • 進化論は、生命を超えて適用できるか。進化論を物質のみの世界に当てはめた例が分子ダーウィニズムだ。ある種類の分子には複製の能力があり、それには適応が働く。
  • 自己複製できる分子は、散逸適応の結果として現れるのかもしれない。散逸適応とは、外部からのエネルギーをうまく使えるように、分子たちが構造や配列を自然に適応させることだ。カオスからの秩序の生成が自発的に起こる。これが分子ダーウィニズムの起源になった可能性がある。

 

 

 

 

 

 

9章

 

 

エントロピック・ツーステップのおかげで、どこかで構造が破壊されているかぎりにおいて、別の場所で構造を形成することは可能なのだ。

 

 

「思考する者」はいつまで存在可能か?それは、現在の生命や機械の延長線にあるとは限らない。唯一の条件として、「思考のプロセスは物理法則に従う」ということのみ仮定しよう。

すると、「思考する者」はエントロピー増大則に従い、排熱するというしかけがなくてはならない。

どれだけのエネルギーを必要とし、しこうのかていでどれだけのエントロピーが生じるのか?宇宙はその排熱をどれくらいのペースで吸収できるのか?

宇宙は膨張し、物質は崩壊し、温度が下がる。つまり、「思考する者」がエネルギーを手に入れることはどんどん難しくなっていく。

 

 

 

 

 

 

 

10章

 

生命と思考、「思考する者」は必ず終わる。

宇宙が無限に多くあるのであれば、生命と心を宿すものが確実に存在する。

 

 

ここで説明している宇宙論の多宇宙理論と、量子力学の多世界解釈との本質的な違いは、宇宙論の多宇宙理論では、他の世界──他の領域──が実現するかどうかは、解釈の問題ではないということだ。もしも宇宙空間が無限に広がっているのなら、他の領域は、間違いなくどこかに存在するのである。

 

 

 

 

 

 

11章

 

 

 

価値と意味は、実在のもっとも基礎的なレベルには決定的に欠落しているものだが、人間がどうなろうとおかまいなしの自然の上方に自分を引き上げたいという、われわれをたえず駆り立てる情熱の本質をなすものなのである。

 

 

 

人類という種はいずれ絶滅するということ、そして少なくともこの宇宙においては、生命と心はほぼ確実に死に絶えるということは、長い目で見て、物理法則からごく自然に引き出される予想なのである。宇宙の歴史の中で唯一目新しいのは、われわれがそれに気づいていることだ。

 

 

 

しかし、これまでたどってきた科学の旅が強く示唆するように、宇宙は、生命と心に活躍の場を提供するために存在しているのではない。生命と心が、宇宙にたまたま生じただけなのだ。そして、生命と心は、つかの間存在して消えていくだろう。

 

 

 

科学は、外なる実在を理解するための強力にして精巧な道具である。しかしそれを認めたうえで、それを踏まえたうえで、他のいっさいは、おのれを見つめ、受け継いでいく必要のあるものは何かを把握し、物語──暗闇の中にこだましていく物語、音から彫琢され、沈黙の中に刻みつけられ、最上のものは魂をゆさぶる物語──を語る、人類という種なのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

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