記事の内容
ずっと気になっている問いがあります。
情報とはいったい何なのでしょうか。
一般的にイメージする情報という言葉では、もっと広く本質的な意味での情報という概念を捉え損ねている気がするのです。なぜなら、この記事で紹介するように、情報という概念は色々なところに顔を出し、とても汎用的です。汎用的すぎて、その内実をまだまだ分析できていない、そんな気がします。
情報とは何かという問いを楽しむために、この記事では関連本を紹介します。ただし、いわゆる「シャノンの情報理論」についてはあまり扱っていません。
それでは、目次をどうぞ。
哲学的、思想的
基礎情報学
情報工学と社会情報学の間をつなぐ架け橋としての「基礎情報学」。本書は、情報およびそれを支えるメディアを統一的・体系的に考察する。基礎情報学は「生物とはいったい何か」という問い直しから出発し、「社会システム」へとテーマを展開していく。 パソコンやインターネットの急速な普及により、いまや、あらゆる学問分野がITベースに組み替えられている。21世紀は情報学の時代だという声も、あながち誇張ではない。既存の諸学問分野をIT利用を前提として並列的・表面的につないだだけの概念ではなく、「情報から出発する思考」のもつ、本質的な意義と限界線を探ろうとする意欲作!
まずは、国内での情報学の先駆者的存在、西垣通のアイデアから。
生命と社会をつなぐ。
新・基礎情報学
序論 反ホモ・デウスのために
第I部 基礎情報学にいたるアプローチ/情報と意味創出
第1章 ネオ・サイバネティクスの誕生
第2章 ネオ・サイバネティクスの展開
第II部 基礎情報学の核心/生命にもとづく情報学
第3章 APSからHACSへ
第4章 新実在論と生命哲学
第III部 人間のための情報技術/AIという衝撃
第5章 AIの論理と誘惑
第6章 データ至上主義からの脱出
西垣の基礎情報学の近年の様子がわかる。
情報哲学入門
序 章 情報という問い
第I部 情報がもたらす未来
第1章 情報と技術の未来
一 カーツワイルのポスト・ヒューマン論
二 ニック・ボストロムのスーパーインテリジェンス論
三 マックス・テグマークの生命システム論
第2章 情報と経済の未来
一 マカフィーとブリニョルフソンによる第二のマシン・エイジ
二 ショシャナ・ズボフの監視資本主義
第3章 情報と政治の未来
一 フランシス・フクヤマと「テクノロジーの政治学」
二 マイケル・サンデルと「守るべき美徳」
三 ユヴァル・ノア・ハラリと「自由主義の擁護」
第II部 情報哲学の現在
第4章 情報の分析哲学
一 第一哲学としての情報哲学
二 機械情報の振る舞いを把捉するための情報概念の再定義
三 情報技術を再定義し、情報化された環境における生の条件を問う
四 知能とは何かを再定義する
第5章 情報の基礎づけ
一 生命情報、社会情報、機械情報
二 情報とは何か
三 情報学が揺さぶる哲学的思考
四 情報論的転回は大文字のパラダイムチェンジか
五 シグナルの存在論、シンボルの存在論
第6章 人工知能の身体性
第III部 情報の実践マニュアル
第7章 世界のセッティング
第8章 社会のセッティング
第9章 「人間」のセッティング
フロリディ
機械が扱うデータから情報を定義する。データは、その在り方により、人間による意味づけなしに、意味を持つ。ゆえに、それを処理する機械の物質性に注目する。
西垣通
情報はどこからやってきたのか。
人によって解釈されていない各種生命たちがもつ意味。ここから始める。そして、生命情報、社会情報、機械情報、という3階層をかんがえる。
生命による感覚作用の外側は、情報本的には不可知になる。
情報の哲学のために
第1章 情報革命
情報社会の出現
ゼタバイトの時代
第四の革命
情報圏(インフォスフィア)での生活第2章 情報のことば
データにもとづく情報の定義
データについて理解する
アナログとデジタルのデータ
バイナリデータ
データまたは情報の種類
一次データ
二次データ
メタデータ
運用データ
派生データ
環境的情報
意味論的内容としての情報第3章 数学的な情報
通信の数学的理論
冗長性とノイズ
通信の数学的理論が示唆すること
エントロピーと乱雑さ第4章 意味論的な情報
事実的な意味論的情報
情報の有益さに関する分析
演繹のスキャンダル
バー=ヒレルとカルナップのパラドクス第5章 物理学的な情報
マクスウェルの悪魔
量子情報
情報から現実がうまれる第6章 生物学的な情報
遺伝学的な情報
神経科学的な情報第7章 経済学的な情報
完備情報
情報の非対称性
完全情報
ベイジアン(ベイズ主義にもとづく)情報第8章 情報の倫理学
新たな環境的倫理としての情報倫理
「資源としての情報」倫理
「所産としての情報」倫理
「対象としての情報」倫理
情報倫理に対するミクロ倫理学的な接近法の限界
マクロ倫理学としての情報倫理エピローグ 自然(ピュシス)と技術(テクネ)の融合
意味を生み出す記号システム
情報の歴史
生物学と物理学
生命にとっての情報とは何か?
最近の物理学では、情報、計算、エントロピー、確率、これら概念の横断が楽しい。
生物の中の悪魔
・いったい何が、生物と他の物理的システムとの違いを決定し、生物を特別な存在にする「活力」というものを与えるのか?
・そもそも、「生命」というのは、どこから来たのか?
この問いは、20世紀半ばに「生命現象を物理法則で解明できるか」という問題提起をしたノーベル賞物理学者シュレーディンガーを嚆矢に、多くの科学者が研究を重ねましたが、未だに決定的な成果を上げることはできていません。
しかし今日、その答えはすぐ間近にあると著者は説きます。その答えを導き出きつつあるのは、コンピュータ科学、化学、量子力学、そしてナノテクノロジーなどの分野が重なるところにあります。そして、これら様々な分野をつなぐキーが「インフォメーション(情報)」です。
本書は、「情報」という概念をキーワードに、情報と物理現象との関係、生命の誕生と進化、意識の発生といった話題を、最新の研究成果とエピソードを通して紹介し、「生命の秘密」を解明しようとするものです。
特に、本書のメインというべき4章と5章では、20世紀半ば以降に急速に発達した、コンピュータ科学と量子力学を通して、生物の細胞や進化、そして多細胞生物の宿命ともいえる癌細胞の発生の過程を説き明かしていきます。さらに、近年大きな注目を浴びている「量子生物学」の分野で解明されつつある、生命の謎に関する発見を解説します。
情報生命
本は遊びたがっている。知はつながりたがっている。生命は情報である。
生命は情報である。情報高分子から生体が創発(エマージェント)した。
地球も遺伝子も、そもそもは物質で構成されているのだが、
そのどこかから、生―情報系がふいに躍り出た。
だったら、まだ躍り出ていない情報生命があっても、おかしくない。
フクザツな地球生命圏の中に、いっぱいのザツが爆ぜている。
量子情報科学入門
非平衡統計力学
Amazon.co.jp: 非平衡統計力学 基本法則から読み解く物理学最前線 電子書籍: 沙川貴大, 須藤彰三, 岡真: Kindleストア
本書の目的は、近年発展のめざましい非平衡統計力学について、基礎から最先端までの道案内をすることである。現代的な非平衡統計力学の本格的な教科書(2000年代以降の大きな発展である、「ゆらぎの定理」などの「ゆらぎの熱力学」の考え方を本格的に取り入れたもの)は、本書が和書で初である。とくに、情報と熱力学を融合させた「情報熱力学」について本格的に解説された教科書は世界的にも例がなく、本書のもっとも大きな特徴である。
読者に専門的な予備知識は要求せず、物理学科や応用物理学科の学部2年までで習う程度の熱力学・統計力学の初歩的な知識だけで読めるように工夫されている。とくに情報理論については、完全にゼロから解説を行った(したがって、本書のそれなりの部分は、意欲ある高校生なら読めるはずである)。また、ランジュバン方程式など伝統的な非平衡統計力学の概念についても、予備知識を前提にせずゼロから解説した。
一方で、熱力学不確定性関係など、現在世界的に活発に研究されている最先端の話題についても詳細な解説を行っているため、統計力学を専門とするプロの研究者にも有益である。量子ドットから生体分子モーターまで多彩な具体例を取り上げることで、異分野への接続に留意した(とくに生物物理の研究者は、主要な読者層の一角になるはずである)。
情報と物理学
近年「情報」と物理学との関係に注目が集まっています.熱・統計力学と情報理論との関連から情報熱力学や情報統計力学という研究分野が発展し,また,量子力学の概念を取り入れた量子情報理論は,現代物理学の発展に大きく寄与しています.このような物理学と情報の橋渡しとしての役割を“エントロピー”という概念が担っています.本特集では,この“エントロピー”をキーワードに,物理学と情報がどのように関連しているのか,近年注目されているテーマを中心に迫っていきます.
関連資料
情報の哲学の見取り図
https://researchmap.jp/enmt/presentations/36272639/attachment_file.pdf
情報と哲学
https://www.ipsj.or.jp/magazine/9faeag000000pfzm-att/IPSJ-MGN540502.pdf
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