人工知能を哲学から
今回の記事では、上記のテーマについてまとめてみます。AIの本質を知りたい方にきっと役立つはずです。どうしてAIと無限がつながるのかがポイントです。
「AIってなんだよ!本質的な議論がしたい!!」という方におすすめな記事になります。
人工知能のための哲学塾 東洋哲学篇
今回はこちらの本から。
いわゆるAI技術の背景にある、人の知能とは何なのか、という疑問を分析するのに役立つ本です。
人間の知能、コンピュータの本質などについて、哲学の見地から幅広い分析がなされています。とくに、本書の記号と人口知能についてまとめてみます。
人工知能の中身は??無限にぶつかる...
人工知能の中身を知ることは、それがどう構成されているかを知ることと等しい。では、現在の人工知能の表現形態はどうなっているのか。
そもそも、人工知能とは西洋の学問の言葉で書かれている。西洋の学問の流れの延長上にあるからだ。
また、アリストテレスは知の定義をこう唱えた。
「知とは、説明できること」
その流れの中、西洋の学問とはどういう性質のものか。
あらゆる学問は、説明の体系である。
そう、説明をすること、つまり言語に還元できる、ということだ。そして、精神のコード化を目指す営みこそが、人工知能である。そして、その表現形態、つまり、中身は「明示的な記号」の集まりである。
しかし、ここである問題が生じてしまう。
記号の集まりとは、データやアルゴリズムなど、有限の要素だ。けれど、外に広がる世界、そしてその可能性は無限だ。有限なものをいくら集めても、無限にはならない。
このギャップが、有名なフレーム問題の本質でもある。フレーム問題の解決の出来なさが、よくわかる。
無限について、入門としては野矢茂樹氏のこの本がおすすめ。
私たち人間の世界の捉え方は?
日常の行為の最大の特徴は、明示的に説明できないという「暗黙化」である。例えば、歩くことは簡単だが、それを説明するとなるとほとんど不可能だ。
することと、説明できることとの間には、大きなギャップがある!!!
さらに、世界から出力される情報は無限だが、生命に与えられた時間は有限である。人は、無限な計算をしている暇はない。
ポイントは、無限、有限、時間、計算。
人の認識を、言語的に還元することは難しそうだ。一方、人工知能の本質を、以下のように著者は指摘する。
人工知能の「学習」は、内実を見れば明示的な「関数の最適化」です。
私たち人の認識のあり方と、記号的な構成のあり方には、確かに大きな違いがある。これを踏まえてみると、いくつか疑問が生じる。人の行い全てを記号か記号でないか、明確な境界を引くことは可能だろうか。そして、人にとっての記号とは言語だけか?
人の内部に情報を保持する状態を表すものとして「表象」という言葉が使われるが、人工知能では使われない。また、表象も一種の記号とみなしていいのだろうか。人工知能は人間が作ったものだけあって、中身の議論がしやすい。使われている材料が明確だからだ。一方、人間の性質については、まだまだ説明事項がたくさん残っている。やはり、曖昧な分だけ、単純な還元が難しい。
つまるところ、「記号」「表象」などの言葉の意味が、やはりまだ曖昧に感じる。専門家の間でも、定義が分かれるところなのかもしれないが...哲学の領域に踏み込んでしまうことになりそうだ。認知心理学的な実験を漁ってみたい。
次の記事では、人の知能の本質を探っている。
記号って...??
「記号」とはどういう性質を持つのか?その本質は?
言語である、というたとえだけでは、抽象度が低いままに感じる。
本質的な、マトを得た何かが得られないだろうか。
今気になっている本はこちらです。
- 作者: ジェスパーホフマイヤー,Jesper Hoffmeyer,松野孝一郎,高原美規
- 出版社/メーカー: 青土社
- 発売日: 1999/07
- メディア: 単行本
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さらに、記号と人工知能を考える上で欠かせないテーマが数学です。こちらの記事で、数学におけるある重要な定理を紹介しています。
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