情報とシステム!!オートポイエーシスに注目
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今回はこちらの記事の続きになります。
西垣通氏の基礎情報学、前回の続きとして「システム」についてまとめます。とくに、基本となるオートポイエーシスという考え方が新鮮に感じるかもしれません。面白いですよ!
・情報とシステムの関係とは?なぜシステム論がいるのか?
・生命と機械をはっきりと分ける基準とは?→オートポイエーシスが重要
とくに、この生命と機械の違いをもたらすオートポイエーシスという考え方が、目から鱗でした。近年、注目されているAI論にも関わることであり、かなり重要な視点です!!
2.1自律システムと他律システム
情報はシステムによって扱われる。だから情報学を考える上で、システム論が必要なのですね。
・システムとは?
複数の構成素から成り立つ集合体。構成素がそれぞれに独立に存在しているのではなく、全体としてまとまった機能を作動させる。だから、要素の組み合わせの仕方、相互関係性が大事。
・ルールの性質
システムの本質は、作動の継続とそれに伴う自らの構造的な変容である。作動と変容の仕方にはルールがある。ルールの性質によって、自律システムと他律システムに分けられる。
・基礎情報学における自律システムの定義
自律とは、システムの作動=変容を司るルールが、システムの内部で制定されること。そのシステム自身のあり方に基づいてルールが定まるという閉鎖性をもつ。自律システムとは、自己循環的=再帰的なルールに基づき閉鎖的に作動する。
→生命情報の意味とは、再帰的に形成される→生物や人間は、自律システムと関連が深い
・コンピュータ、他律システムの本質
設計者が作動のルールを定める。ソフトウェアが自律しているように見えるのは、複数の時間が組み合わさっているから。コンピュータ側の意味解釈は、前もって設計者がしているのである。
2.2生命と機械の違い
・生物独自の物質などない
素材つまり物質によって、違いを決めることはできない。タンパク質でも、機械を作れる。
・ではどう違いを見つけるか?
→システムとして見る=関係によって見ること。システムの特性は、構成要素の相互関係によって決まる。生物システム独自の関係を有機構成とする。
・第一世代モデル
自己維持を続けること。自己の恒常性維持を有機構成とする。
→しかし、これはフィードバック機構など機械でもできる。
・第二世代モデル
自らを組織化して多様な物理的形態を作り上げる。成長していく。自己組織性。
自己組織性の特徴は、部分の分析が全体の分析とイコールにならないこと。よって、非線形と言える。非線形は複雑系と言われ、フラクタル理論や、カオス理論などがある。
→しかし、これらの特徴は生命以外、自然界でも見られる。パターンの物質的性質には関連するが、意味内容を扱う情報学からみれば足りない。
では、何ならば生命独自の関係になるのか?それが、オートポイエーシスです。
2.3オートポイエーシスという関係 意味をとらえるために
・自己創出
生命のもっとも本質的な特徴が、自分で自分をつくり上げること。有機構成(生物独自の関係)として、オートポイエーシスという関係を取るのが第3世代モデル。このオートポイエーシスが、科学の歴史上新しいシステム論をもたらしてくれたのです。
細胞は、自分の状態に応じて、自己循環的に自らを作っていく。構成素が構成素を産出する、と呼ばれる。
オートポイエティック・システムにおける有機構成は、「構成素を自己循環的 / 再帰的に産出する動的なプロセスのネットワーク」によって与えられる。
→この関係は、閉鎖系。円環的に閉じているイメージ。この閉じているという点が、第1、2世代モデルと決定的に異なる。
うーん、なかなかイメージしづらいでしょうか?松岡正剛のオートポイエーシスの説明を引用しておきます。
1063夜『オートポイエーシス』ウンベルト・マトゥラーナ&フランシスコ・ヴァレラ|松岡正剛の千夜千冊 興味ある方は、こちらを全部読むのがオススメ。
オートポイエーシス・システムは、システムを自己決定しているシステムである。すなわち、みずからの構成要素と相互作用しながら作動する自己言及システムであって、そのように作動することでみずからの構成素を次々に産出しているシステムである。
オートポイエーシス理論では、創発そのものがシステムの本質なのである。そう、みなしたのだ。創発は新たな発現なのではなくて、(そういうものがあるとすれば)創発の構造をネットワークとするシステムが生じたとみなしたのだ。それは文字どおりの(つまり生粋の)自己創発システムだったのである。
・関係と構造の違いに注意
オートポイエーシスという関係は閉鎖系。これは、抽象的な関係だから閉じることができる。一方、構造としての物質は、開放系(外界から栄養を取り入れている)である。
・視点移動の重要さ!!!!
第1、第2世代モデルを観察記述する視点は、外部からのもの。細胞の外から、細胞の機能を記述しようとする。そこでは、意味が削除されてしまう。
しかし、外から生物観察してて、その生物の意味つかめるわけないじゃん、これで生命の本質掴めるのか?という問題意識があった。だから、細胞の内側から見てあげる。この切り替えがすごい!!科学という方法論そのものに関わるようなインパクトの大きな発想の転換になる。
つまり、研究対象が「観察されたシステム」から「観察するシステム」へと移ったのだ。
・内部から見る
オートポイエーシスという関係を観察記述するのは、その内部から。視点を内部に移さないと、その生物特有の認知・行為は観察できない。これは、物質科学の世界から、情報学の世界へ移ることでもある。
→生物の認知・行為と切り離せない意味内容を扱うのが情報学。物理化学作用ではなく、意味作用をつかみたい。(意味と生命は切り離せないのだから)
・生命と機械の違い
生命は自律系、機械は他律系。機械は人間位よって動作内容を完全に与えられている。一方、生物の行動を完全に予測することはほとんど不可能。これは生命が情報レベルでは閉鎖系だからである。生命の動作ルールは自分自身にも、外から観察してもわからないのだ。
この生命と機械の違いという論点が、AIを語る上でも欠かせないと著者は指摘する。
オートポイエーシスという考え方、少しは伝わったでしょうか?続いて著者は、このシステム論をもとに、心、社会へと分析を続けていきます。
すんごいですよねえ...
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