記事の内容
今回は「ベイズの誓い」という本を紹介する。
流行っている人工知能の文脈では、「ベイズ統計」という言葉を耳にすることが多いと思う。しかし、ベイズの本質と人工知能の関係をしっかりとつかむのは、なかなか難しい。
そんな本質的な議論をざっと確認できる本が、今回紹介する一冊だ。
入門書ではあるが、扱っているテーマはかなり深い。ベイズ統計と人工知能というある種の「思想」まで、感じることのできる一冊である。
ベイズに関する基礎や、人工知能との関係についてまとめたいと思う。
ベイズの誓い ベイズ統計学はAIの夢を見る 松原望
ニューラル・ネットワーク、ゲノム解析、自動運転技術。現代社会を彩る数々のAI、その元祖はベイズ統計学だった。時代に即して新しく、同時に270年の古い歴史をもち、「確率」「論理」「統計」の3要素をすべてバランスよく備えたベイズ統計学。ベイズ統計学に精通した著者が基礎から最新応用までわかりやすくまとめ、話題のシンギュラリティも独自の目線で切り込んだ最新作。初学者にもアップデートを試みる方にも最適な1冊である。
ベイズ更新の基本
ベイズの定理とは、
事前分布×尤度 → 事後確率
「確率分布の変換の技法」という性質をベイズ統計は持つ。
データないし、データの尤度がこの変換を行なっている「主体」である。
大事なのは、「事前分布」の選び方。
選んだり、見立てる必要がある。よって、機械的ではなく、人為的な選択になる。だから、「主観確率」とも呼ばれるのだ。この「主観性」について、科学的ではないと批判されてきた歴史は有名だ。
・自然共役事前分布
尤度を選んだならば、それと合うような事前分布を選ぶ。こうすることで、自然に事後分布を計算することができる。
ベイズの思想
「尤度」・・・パラメータの関数
起こりやすさのこと パラメータの関数として、結果xの起こりやすさの確率を示す「確率分布」である
パラメータは理論上の概念。つまり、真の値にはたどり着けない。
だから、「推論」になる。
パラメータによって、xの出やすさが決まる。
それならば、xからパラメータを推論できるはずだ。
「結果xの応じてパラメータpに可能性の濃淡が出る」
ここに二つの考え方が生じる。
・真の値は一つの値であるが、分からない
・分からないからこそ、色々であると想像される・・・ベイズ
ある(予測できる範囲での)原因から起こっていることには違いはないが、その原因はわからない。ただし、すべての原因が同等とは限らず、おのずから有力な可能性の高い原因とそうでない原因に確率が異なってくるのがふつうである。この確率分布を知りたい。
確率なしにAIは作れない
「不確実性」こそ世界の本質であり、だからこそ、それをどう扱うのかが大事。
確率は、本来的には数学からはみ出していた。それを、いま一度確認させるのが、ベイズでもある。
「因果関係は数学の領域ではない」
という視点があるものの、ベイズの定理が人間の推論にうまく一致することは否定できない。
まとめ
さらにこの本は、「シンギュラリティという思想」に迫ったり、「確率とAIとシンギュラリティ」という著者独自の考え方の一端が披露される。
専門家らしくも、いい意味で教科書てきではなく楽しめる。ベイズとAIに興味がある人は、ぜひ読んでみてほしい。
さらに、ベイズ統計について知りたい人は次のようなほんがおすすめだ。
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