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「ブレイキングバッド」という超大ヒットドラマをみなさんは知っているでしょうか?
2008~2013まで放送されたドラマ。数々の賞を受賞し、ギネスブックにも載っているドラマです。この評判の良さから、私もこのドラマを見始めました。(Netflixで全部見れます)
・脚本の巧みさ
・主役2人の変化していく関係
・魅力的なキャラたち
・現実の問題を浮き彫りにする社会派ドラマ
などなど、語りきれない魅力を持ったドラマでした。
今回、最終シーズンまで見終えたので感想・見所をまとめたいと思います。
ブレイキングバッド あらすじ
舞台は2008年のニューメキシコ州アルバカーキ。偉大な成功を遂げるはずだった天才化学者ウォルター・ホワイトは、人生に敗れ、50歳になる現在、心ならずも高校教師の職に就いている。妊娠中の妻、脳性麻痺の息子、多額の住宅ローンを抱え、洗車場のアルバイトを掛け持ちしていても、なお家計にはゆとりがない。ある日、ステージIIIAの肺癌で余命2~3年と診断され、自身の医療費と家族の経済的安定を確保するために多額の金が必要になる。義弟ハンクや旧友エリオットが費用の援助を買って出るが、あくまで自力で稼ぎたいウォルターはそれらを拒み、代わりにメタンフェタミン(通称メス)の製造・販売に望みをかける。麻薬取引については何も知らず、元教え子の売人ジェシー・ピンクマンを相棒にして、家族に秘密でビジネスを開始。裏社会での名乗りは 「ハイゼンベルク」。
「ブレイキング・バッド」はスラングで、「悪事に落ちていく」などの意味らしい。
ガンで余命いくばくのウォルターが、違法薬物生成で大金を稼ごうとするお話。全体的に、練られた脚本が最高だった。見続けているうちにはまること間違いなし!!
雰囲気はこんな感じ。
最初の頃はとにかくフラストレーションが溜まった
シーズン1、シーズン2はそこそこ面白いかな、という印象だった。
しかし、とにかくイライラさせられた。ウォルターとジェシーの振る舞いにである。ウォルターとジェシーの喧嘩、言い合いの数々にうんざりさせられるのだ。
ウォルターはいい歳したおっさんのくせに、すぐに感情的になる。化学を極めたという設定があるのに、全然スマートに見えないのだ。プライドだけ高く、うまくいかない現実に感情をむき出して怒る。まるで子供のようだ。
この2人が会うたびに、感情的に言い合う様を見せられる事になる。そして、その稚拙さのせいで2人はどんどんピンチに陥っていく。そこで、人の命が奪われる結果を招いていくのだ。
ここでたまるフラストレーションを晴らしてくれるかというと、なかなかそうもいかない。このドラマの見どころである「化学」を用いて、何度かウォルターが挽回してくれるのだが、スカッと度は低かった。なぜなら、そのピンチの原因はウォルター自身にあることが多かったからだ。
そういうわけで、シーズン1,2の間は、とにかくイライラさせられっぱなしだった。(この感情的な喧嘩そのものは、今後のシーズンでも続いていく。ほんと成長なし。)このイライラに耐えられず、視聴をやめる人もいるだろう。
しかし、これは裏を返せばそれだけ脚本が巧みであることを示す。ウォルターがどういう人物か、ジェシーがどういう人物か、この設計を丁寧に計算して描いているように感じた。「史上最高のドラマ」という評判への期待もあったし、この人物たちの今後はどうなるのだろう、という興味を持てる展開にはなっていた。
だから、シーズン3を視聴することになった。
そして、シーズン3から、とんでもなく面白くなっていく!!!
評論家からの評価も、シーズンが進むごとに増していく。どんどん面白くなるドラマと言えるだろう。
変化していくウォルター
個人的には、主人公であるウォルターにずっと感情移入できなかった。やっと彼のことが見え始めたのは、最終シーズンになってからかもしれない。
しかし、このドラマが面白くなるシーズン3から、徐々にウォルターは彼のうちにある狂気を覚醒させていく。
そのきっかけとも言えるエピソードが、「ジェシーとジェーン」である。ジェーンは、薬物依存から懸命に抜けだそうとしている女性だ。境遇が似ているジェシーと愛し合うようになる。このジェーンのキャラも等身大かつ魅力的で、ジェシーとの関係も深いものだった。
このジェーンの死を、ウォルターは救えたのに救わなかった。
ここに、このドラマが一気に動き出す予感を感じさせる「決断」があった。ウォルターというキャラが、一歩変身した瞬間だったと思う。ここからウォルターは自身の野望のために、人の命すら利用するようになっていく。子供の命だって利用するのだ。根は優しくていいやつなジェシーとの溝も深まる。ウォルターとジェシーは互いに憎みあうまでになっていく。
後半の方で、ウォルターにも後悔が残っているかのような描写がある。ジェシーを見殺しにしたことをジェーンに言うか迷うシーンがあるのだ。ここでは言わなかったものの、考えられる最悪の場面で言うことになってしまう。ジェシーにとっては、辛すぎるシーンだった。
このシーンはしんどかった...
ジェシーの魅力
このドラマでもっとも感情移入しやすいのが、ジェシーだろう。彼は確かに薬物依存でどうしようもないやつだが、優しく子供好きな良いやつである。その性質もあって、大きな悪事に巻き込まれていく過程で、迷うことが多くなる。
しかし、最後にはやはり善の道を自ら選択するのだ。そんな彼にとって、最大の障壁になったのが、あのウォルターだった。
このドラマの最大の魅力といっていいのが、「ウォルターとジェシーの関係」だろう。
先生と教え子、ドラックづくりの相棒、生死を救いあう相棒、憎みあう関係、互いに命を狙う関係などなど、その関係はどんどん深くなっていく。
この変貌の原因は、主にウォルターにある。彼は、子供の命を利用するようなクズやろうになってしまったのだ。
しかし、完全なクズやろうで片付けてしまわないのが、このドラマの最終シーズンである。それは、ウォルターが様々なことにどう決着をつけるのか、ということでもあった。
ウォルターは、ジェシーのことだけは助けようとしていたのだ。途中どうしようもなくなり、ジェシーを殺す決断をした時も情けをかけようとしていた。そして、ウォルターは、家族でもあるハンクの命も最後まで助けようとしていた。つまり、彼にとっても大事な人はいたのだ。そこは、最後まで守ろうとしていた。
最終的に、ウォルターは自らの命をかけて、家族の仇を討とうとする。そして、ジェシーの命も助ける。この2人の最後の別れのシーンは、なんとも言えないくらい良いものだった。
「男」としてのプライド
ウォルターは、何度も「家族のためにやっている」と言うセリフを口にする。しかし、その裏にはこの男のプライドが見え隠れしていた。
自分の能力を存分に活かしたい!!、と。
その結果が、「自らの帝国を築く」と言う野望だろう。ウォルターは、この野望のために利己的になっていく。
この様に、自分の境遇を重ね感情移入していった男たちは多いのではないだろうか?とくに、ウォルターと同年代の男たちが。彼らは、社会での責任、家族での責任の中で、様々なものが溜まっていってしまっている。
それらをぶち抜き、改めて生きてやる!、と覚醒したのが、ウォルターという存在なのだろう。利己的というとイメージが悪いが、自分のために生き切ると言い換えることもできるはずだ。
そんな彼の行き着く先をこのドラマを描いてくれる。
彼は、文字通り全てを失ってしまうのだ。そんな彼が、最後に何を成し遂げようとするのかが、またまた魅力的な展開になる。
最終シーズンに至るまでにとにかく脚本の丁寧さがよかった。そして、絵作りも。最後の最後まで面白くなる珍しいドラマだろう。
ぜひ、暇があれば見てみてほしい。
Netflixで全シーズン見れる。
アマゾンでも結構お得かも。
続編が映画で!!???
なんと、続編が製作中とのこと。ジェシーが主役になるらしい。
情報を待ちたい。
おまけとして、「ザコシショウ」のウォルターのモノマネを置いておく。(笑)
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