記事の内容
このシリーズでは、高校の生物で扱う内容をざっくりと紹介します。
高校生が入門するのにも、社会人が復習するのにもおすすめです。
暗記になりがちな生物ですが、できるだけ生物学の面白さと不思議さを意識しながら進めていきます。
私自身、生物学に興味を持っているので、一緒に楽しく勉強していきましょう。
この本を参考にまとめていきます。
酵素ってなに?
私たちは普段、食事でたんぱく質をとりいれています。
しかし、たんぱく質を消化するには、本来であれば、塩酸をくわえたり、100℃まで温度をあげたりする必要があります。
私たちの体は、こんな手間をかけずともたんぱく質を分解してくれますよね。
いったいどうやっているのでしょうか?
その時に活躍するのが酵素です。
酵素は、
たんぱく質やデンプンを分解させたりといった、化学反応を体温付近の穏やかな温度の下でスムーズに行わせる働きがあります。
酵素自身は反応の過程で変化しないので、一つの酵素が何回も繰り返し使えます。
おかげで、微量で大量の反応を促進させることができます。
ただし、酵素は頑固ものです。
酵素の種類によって、働きかける相手が決まっているのです。基質特異性といいます。
これは、鍵と鍵穴の関係に似ています。
アミラーゼという酵素はデンプンの分解、ペプシンという酵素はたんぱく質の分解、と働きかける相手が決まっているのです。
酵素は、熱や酸・アルカリの影響を受けやすいという弱点があります。
なぜならば、酵素はたんぱく質できているからです。
たんぱく質は、このように立体構造をとっています。
温度が高くなると、この立体構造が変化してしまいます。変性と言います。
生卵を焼くと、目玉焼きになります。たんぱく質の変性は、日々目にしているわけですね。
ふつうの酵素は、体温付近の温度でよく働いてくれます。
やや変わった条件をもつ酵素を確認しておきましょう。
たんぱく質を分解するペプシンという酵素は、強酸性でないと働きません。
だから、胃の中を酸性にしておくために、胃では塩酸が分泌されているのです。
これが、嘔吐したとき、酸っぱい味がする理由です。
吐いた後は、喉がヒリヒリもしますよね。塩酸の威力を感じます。
消化の流れ
それでは、酵素と消化の流れの関係を見てみましょう。
毎日、わたしたちは何かを食べます。
そのとき、どのような流れで食べたものは消化されていくのでしょうか?
酵素が順をおって働きかけてくれるおかげで、食べ物を消化することができます。
ご飯やパンにふくまれるデンプンは、唾液にふくまれるアミラーゼという酵素により、麦芽糖になります。つづいて、小腸のなかで、マルターゼという酵素によりさらに分解されブドウ糖になります。
肉や卵にふくまれるたんぱく質も、いろいろな酵素が順にはたらくことで、最終的にはアミノ酸になるまで分解されていきます。
消化酵素のほかにも、いろいろな酵素があります。
わたしたちはふだん、呼吸をして二酸化炭素を吐き出しています。
この二酸化炭素は、体内にあるいろいろな物質からえぐりとられたものです。
ここでも、脱炭素酵素という酵素が働いています。
日常でよくきく「酵素」
酵素という言葉は、わりと日常でもよく効きますよね。
「酵素ドリンク」「酵素サプリ」「酵素ダイエット」などなど。
これら商品の効果について吟味するためにも、今回あつかったような酵素の基本的な性質を抑えておくといいですよね。
酵素はたんぱく質でできている。それならば、たんぱく質はほかにどんな性質をもっているのか?
たんぱく質である酵素は、どうしてこんなにもうまく特定の相手とだけ反応できるのか?
人体の中で、どのようにたんぱく質は生成されるのか?
そもそも、なぜ生命はたんぱく質でできた酵素を使うようになったのか?
などなど、いろいろと疑問が広がると思います。
色々な酵素を暗記するのは大変です。こうした問いを楽しみながら勉強を続けていきたいですね。