映画「タイム」
今回紹介する映画は、「タイム」です。
吹き替えがひどすぎて一部では有名になっている例の映画です。私も、敬遠していましたが、内容はかなり刺激的で面白いものでした。
・上質なSFが見たい
・考えさせられる映画が見たい
・設定が面白い映画が見たい
こんな希望を満たしてくれる映画です。
記事を読み終えると、SF映画としてこの映画を見てみたい!と思えるはずです。以下、ネタバレにはご注意を。
あらすじ
そう遠くない未来、人類は遺伝子操作で25歳から年を取らなくなることが可能になった。人口過剰を防ぐため、時間が通貨となり、人々は自分の時間で日常品から贅沢品まで支払うこととなった。また、通行料も時間で支払う必要があるため貧困層の地域と富裕層の暮らす町は実質的に隔離されている。裕福な人、すなわち時間を十分に持っている人たちは永遠にも近い時間生きることができるが貧困層の人々は働くことでわずかな時間を給料として受け取り、生活していた。左腕に光る時間表示が0になるとき、人は命を落とす。自分の腕を上にして相手の腕をつかめば相手の持っている時間を奪い取ることができる。 一秒一秒が無駄にできなくなった世界で、スラム街で暮らす主人公は時間を奪うことで生活をしているマフィア集団から富裕層の男を救う。富裕層の男は自分の時間をすべて主人公が眠っている間に与え、置手紙を残して自殺してしまう。主人公は117年という時間を手にするが、母親が不平等な社会の仕組みのせいで時間切れになり息絶えてしまう。復讐を誓った主人公はスラム街を飛び出し富裕層が集まる場所に行くのであった。
時間=お金
この映画で、通貨の役割を果たすものは「時間」である。
つまり、貨幣のやり取り、交換は、時間の交換になる。消費行動のすべては、時間によって払われる。ジュース一本買うのにお金がかかるように、時間で支払う必要がある。
バスの運賃が1時間
高級カーの値段が50年
などなど、私たちの世界で安いものは短い時間、高いものは長い時間がかかる。生活の全てを時間で支払わなければいけない。これをリアルにイメージさせてくれるのが、この映画の魅力だ。
さらに、この映画で重要なポイントがある。
自分が後どれくらい生きられるか=自分の持ち時間なのだ。
時間を貨幣として使わなければならない。それが尽きれば、まさしく自分の命も失われることになる。私たちの世界では、金がなくなっても死にはしない。しかし、この映画では「時間切れ」によって多くの人が命を落とす。
貧富の差
現実世界と同じように、貧富の差の大きさをこの映画は描く。資本主義の世界では、資産がある者たちが有利だ。この映画でも、時間持ちたちが圧倒的に裕福な暮らしをしている。時間持ちのレベルによって、住む場所さえも分けられている。
1000年分時間を持っているならば、後1000年生きれることになる。そう、時間持ちたちはほとんど不死なのだ。
その分、彼らの中には生きることに飽き、自ら命を絶つ者も現れる。不老不死という人類の夢の先にある結論がこれとは、なんとも虚しい感じではある。
時間という指標と、不老不死という大いなるテーマが絡んでくるあたり、一気にSFとして面白くなる。
・生命
・不老不死
・時間
・現実社会の問題点
これらテーマが浮かび上がってくるあたり上質である。よりリアルに楽しめると思う。
時間の重要さ
この映画も、時間が重要だということを教えてくれる一本だ。時間を自由に交換できるようになった世界を描くことで、時間を視覚化、ツール化してくれる。これにより、私たちの社会においての時間の意味を相対化してくれるのだ。
・時間は誰にでも平等にあること
・時間は取り戻せないこと
・時間はお金では変えないこと
こんな当たり前なことの重要さを思い出させてくれる映画だ。こうした本質的なテーマを描くからこそ、いいSFになるのだろう。
個人的には、金よりもずっと、時間というものは大切だと思う。
自分の時間を生きろ!ということだ。
貨幣の本質って?
時間がお金になる映画。
それでは、貨幣の本質とはなんなのだろう?
この問いこそ、仮想通貨が盛り上がってきている今、考えるべきテーマでもある。
価値あるものの交換、と言い換えることができるか?
それならば、「価値」とは?
より深く考えていけるテーマになっていく。
次の記事では、貨幣や価値というものを考えている。気になった方は読んでほしい。
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