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分析哲学入門 【書評・まとめ】 言葉から哲学する感覚を養う!!

記事の内容

分析哲学という言葉、聞いたことがあるだろうか?

 

日本での馴染みは薄いのかもしれない。しかし、英米での主流な哲学の一つが分析哲学

である。

 

ざっくりといううならば、哲学的な議論をする際に、使われる概念をより論理的に分析していこう、というものだ。

 

「分析哲学はカラッとして明るいから好きだ」という言葉を、著者は学生から聞いたのだという。分析哲学の哲学的方法や議論のスタイルのことを、こう表現したらしい。

 

議論の方法そのものが、誰もが納得するような論理・理屈でなされるからだろう。ここが、普通の哲学とはちがうところだ。

「論理って何だろう?」と好奇心がある人にはとくにオススメしたい。

 

今回の記事では、論理哲学入門ににオススメな本を紹介する。

 

 

 

 

 

分析哲学入門 八木沢敬

 

 

英語圏の国々では現代哲学の主流であり続ける分析哲学。しかし、日本ではその存在感は薄い。その現状が「限りなく号泣状態に近いくらい悲しい」と嘆く著者による、渾身の入門書。「ある」とはどういうこと? 「知っている」とは? 「心」とは? 「物」とは? 分析という「理屈」を武器に、そしてユーモアを隠し味に、哲学的思考へとあなたをいざなう快著! (講談社選書メチエ)


現代哲学への最良の入門書、登場! 欧米では現代哲学の主潮流をなす分析哲学。その考え方の魅力を、専門用語を使わず、あくまでも日常的な話題に題材をとりながら、あますところなく語った快著。

 

 

日常の概念を鮮やかに分析していく様は、とても勉強になる。

 

論理的に、理屈で、哲学をするとはどういうことなのか、その初歩をまとめるいい本だと思う。

 

・「ある」とはどういうことか

・「知っている」とはどういうことか

・「言っていることと」は何か

・「かもしれなかった」とはどういうことか

 

などなど刺激的な話題が多い。

個人的には、「可能世界論」の基礎を改めて確認できたのが良かった。可能世界論の参考書としても、いいと思う。

 

可能世界論(かのうせかいろん)とは、論理学・哲学において、可能性、必然性、偶然性などの様相命題を論理的に扱うための理論的装置である。 可能世界の概念は論理学において広く定着しているが、その解釈の仕方を巡っては議論も多い。wiki

 

 

 

 

 

 

理屈を言おう

 

理屈というと、マイナスな意味で使われることも多い。

「現実は理屈じゃないんだ」と。

 

しかし、その理屈を否定する推論にも「理屈」が使われている。理屈批判を理屈で行うことはできない。自己論駁的になる。論理的ではない。

 

人の生活において、理屈を全く信用しないというのは不可能だ。理屈は時々間違って使われることもあるが、全然使わない人はいない。理屈の間違いは理屈で察し理屈で直すのが当然だ。

 

 

 

 

何を分析するのか

 

「概念」だ。

 

たとえば、「妻」とはなんだろうか?

「妻とは女性配偶者のことである」と分析できる。

 

けどこれって、当たり前のことなのでは??

そう、当たり前だから正しいと分かる。

 

他にも、「男の子は男の子です」など当たり前なもの言いもある。これらは、つまらない例と言えるだろう。

 

しかし、分析哲学が目指すのは、当たり前だがつまらなくない概念分析だ。

 

けれど、どこまで分析すれば終わりになるのだろうか?

化学分析の場合も、原子、陽子・電子、クォークなど、どんどん進んでいく。

 

分析哲学において、より基本的なものへの分析は無限に続くものではない、と考えるのが主流のようだ。

 

 

 

 

 

分析の終わり

 

究極のレベルとは、知覚によって直接得られる概念のみのレベルだと考えるのは「経験論」と言われている。赤色、高い音、甘さ、なめらかさなどの五感を通して直接経験する性質のこと。

 

もう一方は、知覚によっては得られない概念も含む、というもの。こちらは、合理論だ。

 

経験論への反論がある。概念を得る前に、その概念を分析する概念を持っているはずだ、と。さらに、「かつ」「〜でない」などの、「論理概念」は五感で得られるものではないのでは、と。

 

分析哲学は、屁理屈を並べ立て自己満足しているだけのように見える。

 

しかし、議論の内容と、その内容を議論する方法の区別は重要だ。

 

大事な哲学の問題を議論するには、問題の大事さに見合った方法がいる。それが、分析哲学という方法なのだ。

 

 

 

 

分析哲学のざっくりとした歴史的流れ

 

フレーゲの論理学の拡張。

 

ラッセルの論理主義への批判。

 

ラッセルの論理原子主義とウィトゲンシュタインから、論理実証主義へ。

 

クワイン、カルナップらによる論理哲学、言語哲学、科学哲学、認識論。

 

クリプキの「名無しと必然性」。

 

 

 

やはり、論理とは何か?という主題が見える。だからこそ、論理と密接な関係にある数学も絡まっている。そして、物事を考えるのにも、表現するのにも、認知するのにも重要なのが「言語」である。まさに、言語そのものを深く分析することが、概念を深く分析することになっていくというわけだ。もちろん、ここにもまた「論理」という何かがちらつく。

 

こういった分野の知識を吸収していると必ず目にするのが、「クリプキ」という存在だ。ウィトゲンシュタインが好きで勉強している身としては、はやくクリプキの議論にも触れていきたい。本書でも触れられているが、「可能世界論」も気になるところ。

 

 

 

 

 

心とは?

 

個人的に「心の哲学」という分野に興味がある。この本からも、ざっくりととした議論をまとめさせてもらう(かなり浅いまとめになってしまっているが)。さらなる議論は、本書へ進んでみてほしい。

 

 

 

心という物理的でない実体があるとする。しかし、すると物理的な身体と物理的でない心との因果関係が成立しなくなってしまう。よって、「Aに心がある」を「棚にぼた餅がある」というモデルでは理解できない。

 

「子供に熱がある」というモデルならどうか?ここでは、状態の話になる。つまり、「心があるという状態」にAはなっているのだ。

 

しかし、心とはどんな状態なのか?

 

「自発的」に動く様子が観察されるという点は重要だ。「望みと思いと行為」という観点から見よう。心を持つものの行為とは、1番強い望みをかなえるにはどうすれば1番いいかということに関する思いと望みに従って身体を動かすことである、ととりあえずは分析できる。

 

しかし、「思い」や「望み」など、まだまだ概念が曖昧だ。

 

循環的定義は必ずしも悪いものとは限らない。

 

心という概念は、機能的な概念で構成されていると言えそう。

 

 

 

 

 

おすすめ本・記事

個人的にもまだまだ勉強していきたい分野である。

 

おすすめな本、記事を紹介しておきたい。

 

まずは、本書に興味を持てたならば、本へとすすんでみてほしい。

 

 

 

 

この本については、次の記事でまとめている。

www.meta-want-to.work

 

 

 

 

 

 

 

  

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