この記事の「問い」と内容
最近体験したとある視点を今回は紹介したい。私は「論理」が気になり、いろいろと勉強していた。そして最近改めて、英語を学習してみた。すると、とても勉強しやすかったのである。
論理学を学んだことが、英文解釈への取り組みやすさにつながったのはなぜか?
この問いの元、論理学と英語学習の関係性に今回は注目してみたい。
論理を身に着ければ、
・文の構造を論理的に分析する力
・論理的に考える力
などが底上げされるとおもう。
こんな能力を養ったあとに、英語学習をした結果どうなったのか、まとめていきたい。
「論理」を深掘りしてきて
私は、「論理」というものが気になっていた。だから、その分野を自然と勉強し始めていた。論理を学問する論理学、概念を論理的に分析する分析哲学、数学と論理の関係を深ぼる数理論理学などだ。
これらに共通する枠組みをあげる。
それは、文の構造を分析する、というものだ。
「人間は必ず死ぬ。ソクラテスは人間だ。ゆえに、ソクラテスは死ぬ。」
などの文は、三段論法とよばれ、論理学の基礎的な推論規則になっている。論理学では、この文の本質をつかむために記号化ということをする。だから記号論理学とも呼ばれることもある。
P⋁Q
P、P⇒QならばQ
など、文を記号であらわしていくことで、論理の本質を分析していく。
哲学的な概念を表す言語を分析するのが分析哲学であり、数学における証明を記号化し、数学するのが数理論理学である。
やはり、言語、文の構造の分析という視点がキモになっている。
これら学習の経験をとおして、「論理」というものを意識することができるようになったと思う。
「言葉と論理の関係」を知ることができたことは間違いない。このおかげで、母語である日本語に対する考え方にも変化があったとおもう。
言葉を使うなかに、「論理」というものが見え隠れしているのだ。(ウィトゲンシュタインなどは、論理は示されるものだ、なんていっている)
個人的には、論理脳というOSがアップグレードされた気分だ。
この脳で、英語学習(英文解釈)を体験すればどうなるだろうか??
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英文解釈が楽に
最近になって、あらためて英文解釈を勉強し始めてみた。次の本を読んでみている。
もともと、英語は好きで、それなりに英文を読むことはできていた。受験生時代から、英文解釈をするうえで、論理的に、システマティックに英文を分析していくことの「基礎さ」は感じていたと思う。
しかし、今回あらためて英文解釈を勉強してみて、驚かされた。
英文分析の作業は、まるで論理学の教科書のようなのだ!!!
英文解釈の作業では、主語(S)、述語(V)などをとらえようとする。
SVOやSVOCなどの、文の構造をつかもうとしていく。
このように記号化して、構造を抽出化している時点で、記号論理学の香りを感じる!!
論理学の学習のほうで鍛えられた脳が、ビンビンと反応するのである。結果として、受験生時代よりも今のほうがはるかに「英文解釈の考え方」を、受け入れやすかった。
英文という言語を分析していくという感覚は、「論理」という視点から言語を分析してきた感覚に近かった。
まずは日本語の論理力を
英語学習でよく聞く言葉に、「まずは日本語力を」というものがあるだろう。
それでは、日本語力とはなんだろうか?
それは、日本語に含まれる「論理」を自由自在につかいこなせるようになることだと思う。いいかえれば、「論理的に考える力」だろうか。こうしてみれば、とても当たり前な表現だ。
論理的に考えること。しかし、この内実と実践は難しい。
それでは、論理的ではない思考とはなんだろうか?
SNSやユーチューブのコメント欄にあふれる頓珍漢な日本語、何を言いたいのかわからない日本語などを思い浮かべてみると、イメージできるだろうか。
「論理的かどうか」という基準は、じつは結構難しい。本質的に言葉の意味は、あいまいだからだ。しかし、その構造にならば論理がある。
だから、論理的に考えるとは、論理的に正しい構造で、物事を考えられるようになること、とも言える。(論理的に正しいってどういうこと?の深い議論は、ぜひ論理学、哲学へ進んでみてほしい)
日常的にいう「論理的に考える」とは、「主張を根拠をもとに構築する」と言えばいいだろうか。意見を構築するために、必要な土台こそ「論理的な正しさ」である。
くわえて、最近話題の人工知能との関係も考えてみよう。
人工知能に置き換えられる人材
大変話題になった本がある。「AI vs 教科書が読めない子どもたち」という本だ。
この本で、著者の新井紀子氏が指摘していたことを思い出してしまう。
大学受験を突破できるような人工知能を開発しようとした結果、日本人の受験生の論理力の低さがあらわになってしまったのだ。教科書の内容すら読解できない子どもたちの存在である。
現在彼女は、現代の義務教育では養えない「論理力」をどうにかするため、いろいろと取り組んでいるようだ。なぜなら、人工知能でおきかえらる人材=浅いパターンでしか思考できない人材という事実があるからだ。
だからこそ、深く考えるための論理力を養うことが欠かせない。「論理的に考える力」の必要性を実感するためにも、ぜひ本書を読んでみてほしい。
「論理的に考える技術」は、日本では教育されない。だから、個人で身に着けていく必要がある。だから、論理思考を養うための本が人気なのだろう。これは、社会で働いている大人たちが、論理の必要性を実感しているということの現れなのではないか。
次の本は、哲学者である野矢茂樹氏の「大人のための国語ゼミ」である。
まとめ
「論理力」が上がることは、いいことずくしだと思う。
さらに、「論理学という視点」から、いろいろな言語を眺めてみるのも面白いだろう。日本語、英語だけではなく、様々な言語において、「論理構造」というものは共通しているのだろうか?
その言語独自の「論理」というものもあるだろうか?
どんな言語でも納得できる論理構造こそ、論理学や数理論理学が取り出そうとしてきたものだ。
こうした「論理構造」の視点をもてば、外国語学習にどのような効果をもたらすだろうか?もっと具体的な知見が得られたらいいだろう。もしかしたら、このようなテーマの論文があるかもしれない
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