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【進化心理学から考えるホモサピエンス】 一夫多妻は女にとってプラスで、男にとってはマイナス

進化心理学から考えるホモサピエンス

 

今回の記事では、次の本の内容から興味深いトピックをまとめる。

 

 

 

進化心理学という基本的な考え方については、こちらの記事でまとめている。まとめている内容は、進化心理学の中でもおおよそ認められている基本的な内容になっている。先にこの記事を読んでおくと、さらに理解が深まるはず。一方、今回紹介する内容はやや確からしさがかけているトピックもあるかもしれない。

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進化心理学には、次のような前提がある。

・人間は動物である

・脳も進化の産物である

・人間の本性は生まれつきのものだ

・人間の行動は生まれもった人間の本性と環境の産物である

 

そして、人間の本性にとって最も重要なことが、繁殖である。だからこそ、人間の心理・行動は、根源的な繁殖戦略の影響を大きく受けているというわけだ。だから、男と女の行動の違いの理由を、その繁殖戦略の違いから分析していく。

 

この基本的な考え方を押さえた上で、記事を読んで見て欲しい。進化心理学に対する注意点も、再掲しておく。

 

 

 

 

 

人類は一夫多妻が自然な状態

 

その証拠は、男女での体の大きさの違い。一夫多妻の度合いと、オスがどれだけメスより大きいかは関連することが分かっている。

 

差が出た理由として、メスが小さくなったという説がある。一夫多妻制のもとでは、メスは早く成熟した方が得になるからだ。その結果、成長が止まる。

 

一夫多妻は、女性にとってメリットが大きく、男性にとってデメリットが大きい。女性は資産のある男を共有できる。しかし、モテない男にとっては繁殖の機会が減る。

 

そして、逆の「一妻多夫」社会は事実上存在しなかった。男側の遺伝子からみれば、自分の遺伝子を受け継ぐ子どもができない可能性が高いからだ。

 

 

 

 

 

 

オスの性器は、メスの貞淑度の指標

 

進化の歴史を見ると、女性は常に浮気性だった。なぜならば、それが女性の生存戦略になるからだ。現代でも、自分の血が繋がらない子供を知らずに育てている父親の割合は、どの先進国でも10パーセント前後になっている。

 

精巣が大きさについては、メスが短期的に多くのオスと交尾する動物は、オスの精巣が大きくなる。 

 

精巣の比率を比べると、人間の女性の浮気性度は、ゴリラより大きくチンパンジーより小さいことがわかる。

 

 

 

 

 

すべての人間社会は事実上の一夫多妻である

 

現代は一夫多妻なんてありえない、そう感じるだろうか?しかし、実態はそうではない。一夫一妻の制度ができたのも、人類の歴史としては最近のこと。さらに、制度ができた後も事実上の一夫多妻が見られた。

 

婚姻制度があったところで、金持ちで権力のある男は、愛人をもつ。地位の高い男は、年を取っても女からモテる。

 

さらに、制度上、離婚が可能なのだ。だから、事実上、時期をずらした一夫多妻といえる。

 

再婚率も女よりも男の方が高い。

 

 

 

 

 

男の政治家はなぜあらゆるものを失うリスクを冒してまで、不倫をするのか

 

人間のあらゆる行動の根底には、繁殖の成功という動機づけがある。これは、人間に限らず、すべての生物でも同じだ。

 

つまり、進化論的な見れば、女性に性的にアクセスすることが目的であり、政治家としての地位は手段に過ぎない。

 

進化論的には、不倫をしない方が不思議というわけだ。不倫をする男たちの遺伝子は、多くの女性とセックスをすれば社会的な制裁があるということを知らないのだ。まさに、私たちの本能は原始時代のまま、というわけだ。

 

 

 

 

 

宗教の起源

宗教の起源については、色々な説があると思う。進化心理学では、やはり生き延びること、繁殖成功度という観点からになる。

 

信仰を持つことで寿命が延びたり、繁殖成功度が高まるだろうか?

 

なんらかの適応上の問題を解決するために進化してきた心理メカニズムの副産物として、宗教が生まれたのではないかという説がある。

 

様々な自然現象の背後に何者かの意図を感じ取るようなバイアスを持つように進化した方が、生き残る可能性が高くなる。効率的なエラー管理のため、というわけだ。

 

 

 

 

ほぼあらゆる社会で男性より女性が信仰心深いのはなぜか

 

宗教上の性差をすべて文化のせいだ、とする実証的なデータはない。つまり、ジェンダー論で説明できない。

 

女性は、繁殖戦略上、男よりもリスクを犯すことができない。

 

宗教とはリスクを最小限にする心理の副産物だとすれば、女性心理と近いといえる。

 

危険な賭けを好むかどうかと宗教性とは、密接な関係があるというデータもある。

 

リスク選好、宗教性、犯罪における性差は、すべて繁殖戦略の性差に起因する。人生のあらゆる場面において男の方がリスクを犯す。

 

 

 

 

 

独身女性は海外旅行好きで、独身男性は外国嫌いなのはなぜか

 

世界的に調べたデータがこの事実を示している。なぜだろう?

 

ここにも、繁殖戦略という観点から、進化心理学は説明を試みる。(現状まともに説明をできるのは、進化心理学くらいなのだらうか?)

 

男性の武器は文化によって異なってしまうが、女性の武器(若さ)は文化を超えて不変的なのだ。

 

外国旅行をしたがらないことも排外主義の傾向も、社会的・文化的な飾りで女性を引き付けなければいけないという男の事情だ。

 

一方、若い女性の魅力は全世界で通用する。

 

 

 

 

 

進化心理学科学リテラシー

 

進化心理学のような分野は、受け入れにくい人が多いようだ。

 

実際に、進化心理学を基にした橘玲氏の言ってはいけない 残酷すぎる真実」という本を、受け入れにくい人もいた。人間社会にある不都合な真実、興味深いトピックをこの本は紹介してくれている。

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しかし、進化心理学は科学である。

 

そして、だからこそ科学リテラシーが必要になる。科学、進化心理学が導く主張は、「〜である」というものだ。

 

「〜であるべきだ」と主張しているわけではない。

 

例えば、「男の方が暴力的だから〜するべきだ」「女の方が〇〇だから、〜するべきだ」といった、「〜であるべきだ」という主張は、進化心理学の領域ではない。

 

それらは、道徳の問題であり、それを実行する議論の仕事こそ、政治の問題なはずだ。

 

 

科学は、より確からしい事実を教えてくれるものにすぎない。(もちろん、科学の発見も覆ることがあることに注意)

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だからこそ、冷静に事実を受け止め、何が確からしいのかを批判的に考える科学リテラシーが求められる。しかし、一般的に科学リテラシーは養いにくい。なぜならば、題材が日常とかけ離れているものが多いからだ。

 

しかし、進化心理学は、恋愛やセックスなど、まさに皆が関心を持っていることである。だからこそ、進化心理学は科学的な考え方を養う格好の題材なのではないか。

 

科学リテラシー育成のために、義務教育で教えてもいいくらいだと思う。

 

 

 

もう一つ、進化心理学の主張で注意しておくべきことがある。

 

進化心理学は、統計に基づく一般論の話をしている。だから、それをそのまま個々のケースに当てはめてはいけない。

 

「男の方が女よりも背が高い」これは誰もが認める一般論だと思う。

しかし、個々のケースを見れば、男よりも背が高い女もいる。

 

進化心理学の注意点、ご理解いただけただろうか?

 

 

 

 

 

 

 

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