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思考のすごい力 【書評・まとめ】 信念が細胞からあなたを変える

本記事の内容

「思考のすごい力 心はいかにして細胞をコントロールするか」の内容をまとめる。

 

・人間の意志の力はどこまでの可能性を持つか

・「思考の凄さ」をいう自己啓発系には、どこまでエビデンスがあるのか

・よりよく生きるために、どのように「意志の力」を扱えばいいのか

・「信念は細胞を変え、人生を変える」を生物学者が基礎づける

 

 

科学とスピリチュアルが交差する本を紹介したい。

 

近年、人間の「意志の力」は改めて見直されてきている。このテーマの様々な自己啓発本も人気だ。

 

これらを、生物学者はどう捉えているのか?

概要と、個人的に気になったトピックをまとめてみる。

 

 

 

 

 

思考のすごい力 心はいかにして細胞をコントロールするか

 

「思考」のすごい力

「思考」のすごい力

 

 

 

人間の持つ無限の可能性の扉を開く新しい生物学の革命的挑戦。遺伝子は単なる生物の設計図にすぎない。意識や環境が細胞をコントロールし、遺伝子のふるまいを変えるという驚くべき真実を科学的に解明。

【著者紹介】
ブルース・リプトン : 世界的に著名な細胞生物学者ウィスコンシン大学医学部やスタンフォード大学医学部で教鞭をとる。これまでに何十ものテレビやラジオ番組にゲストとして招かれ、また、米国内で開かれる各種会議で基調講演者を務めている。細胞膜に関する画期的な研究は、エピジェネティクス(epigenetics)という新しい分野の端緒を開き、科学と魂との橋渡しをする新しい生物学のリーダーとして活躍している

「思考」のすごい力 心はいかにして細胞をコントロールするか : ブルース・リプトン | HMV&BOOKS online - 9784569700649

 

 

かなり新しい見方を提供してくれる本。

 

簡単に言うと、「信念が細部から私たちを変える」ことを生物学的に説明しようとした本。(主張の細部については、生物学に詳しい方の批評を聞いてみるべきだろう)

 

やや話はそれるが、「細胞レベルでわかる」という言い方をしている人がいた。意味としては、細胞一つ一つが理解する、納得するということだろうか。この表現は、感覚としては普通にわかると思う。普段の生活でも、意外と細胞のことまで感覚的には視野に入れているのかもしれない。

こうした感覚の正体が、この本を読むことでわかるのではないだろうか。

 

「思考を現実化させる」具体的な方法についての記述は少ない。その背景の生物学についての本だからだ。

具体的な方法を求める人は、著名な自己啓発本を読むほうがいい。

 

 

 

 

セントラルドグマと細胞について

本書は細胞についての基礎知識を持っているとなお読みやすい。次のような動画がオススメだ。

 

www.youtube.com

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基本的なアイデア

以下に、この本の大まかなポイントを載せる。実際には、それぞれのテーマに対して、生物学者らしい科学的エビデンスが付随する。ぜひ、本を読んでみてほしい。

 

 

・細胞は知性を持っている

・進化の方向を決めるのは環境

 

・環境が遺伝子のふるまいを変える

・遺伝子は生物をコントロールしない

 

・細胞膜こそ細部の脳である

・「内在性膜タンパク質」が遺伝子のスイッチ

 

・量子物理学が生物学・医学を変える日は近い

・物質はエネルギーでできている

 

・プラシーボに治癒効果があるのはなぜか

・心は薬より力がある

 

・大病のほとんどは慢性ストレスが原因

 

・親は子供の遺伝子が最高の可能性を発揮出来る環境を整えよう

 

 

 

一見、従来の科学では扱えない領域を含むように見える。しかし、著者が伝えたいことは、そこなのだ。

 

続いて、これら著者独自の知見をもとにした、彼の一番伝えたい仮説を見ていこう。

 

 

 

 

 

 

「自己」はどこにあるのか

 

細胞の脳にあたるものは、遺伝子ではなく細胞膜。

細胞膜は、環境からのシグナルに反応する。実際に、どのタンパク質を働かせるかを決定する。

 

すると、タンパク質は、環境にある何かと相補的である。タンパク質という機能の集合体である私たちは、環境のイメージによってできている、と言える。

 

環境を、宇宙、または神と言い換えてもいいだろう。

 

もともと、私たちは環境に適合するように設計されている。

 

すると、私たちは全体(環境)の部分だ。しかし、生物学的なアイデンティティは1人ひとり違う!!!

 

細胞は、どうやってあなたというアイデンティティを示すのか??

 

細胞表面にある同一性レセプターが、個人を規定している。

 

しかし、この同一性レセプターもタンパク質だ。つまり、個人に同一性を与えるのは、レセプター本体ではなく、レセプターを活性化させるものなのだ。

 

つまり、自己のもとは、環境にある「自己のシグナル」なのだ。

 

 

私たちは物質的なニュートン的世界に囚われているので、細胞にあるタンパク質レセプターこそが「自己」であると考えがちだ。だがそれは、テレビのアンテナが放送の大もとであると信じるようなものだ。細胞のレセプターは同一性のもとではなく、「自己」を環境からダウンロードする装置なのである。

 

 

つまり、自分の体、細胞は死んでも、「自己」は環境に存在し続ける。テレビに例えれば、「私」という放送は残り続けるのだ。

 

これを裏付けるいくつかの例が、次だ。

 

・臓器移植を受けた人が、ドナーの記憶の一部を引き継ぐ

・前世の記憶を持つ人々、いわゆる生まれ変わり

 

これらを、著者の仮説でなら説明できるという。

 

 

地球は一つの生命体であり、私たちは宇宙、神の一部の表れであるという。そして、人間は魂が形をとったものらしい。

 

最後に、彼はこの力を信じながら、「人間とは愛を必要とする存在」であると強調する。

 

 

 

 

 

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まとめ

 

人間の心の力の凄さを生物学者が描いているという視点は新しい。彼の体験と知識は、やはり科学がベースとなっている。

 

しかし、やはり多くの人が認めてはいないことでもあるので、科学サイドからの意見は厳しいものがあると思う。

 

・魂とは何か

・愛とは何か

エビデンスの解釈の仕方に偏りがないか

 

いろいろな意見があると思う。意外に、宗教の方面まで包括しようという哲学者からの批判があるような気がしている。概念の定義、現象の定義がやはり細部では突っ込みどころがありそう。

 

いずれにせよ、科学の限界、科学哲学、身体知、仏教の「空」などに興味がある私にとっては、とても楽しく読めた。

 

皆さんも自分の観点から、検証してみてほしい。

 

「思考のすごい力」という点は、とても学べると思う。