記事の内容
このシリーズでは、高校の生物で扱う内容をざっくりと紹介します。
高校生が入門するのにも、社会人が復習するのにもおすすめです。
暗記になりがちな生物ですが、できるだけ生物学の面白さと不思議さを意識しながら進めていきます。
私自身、生物学に興味を持っているので、一緒に楽しく勉強していきましょう。
この本を参考にまとめていきます。
いろいろな生殖
ヒトの場合、お母さん、お父さんがいて、精子と卵子が受精すれば、子どもができます。
しかし、人以外の生物をみるとわかるように、これだけが生殖の方法ではないのです。
お母さんはいるけどお父さんはいない。
お父さんもお母さんもいない。
こうした方法で子供を作る生物がいます。
ヒトでは考えられないような子作りの方法ですよね。
分裂
最も単純な方法は分裂です。
アメーバやゾウリムシのような単細胞生物は、分裂で増えることができます。
多細胞生物の中でも、イソギンチャクの一種なども分裂で増えます。
出芽
小さな突起が生じ、これがだんだんと発達して次の個体になるのが出芽です。
酵母菌やヒドラという動物は、この方法で増えます。
ヒトが出芽で増えたら、ホラー映画のワンシーンになっちゃいますよね(笑)
(『遊星からの物体X』という映画を思い出しました)
栄養生殖
根や茎や葉といった、もともと生殖のためでない器官からでも、次の植物を作ることができます。これが栄養生殖です。
茎の変形であるジャガイモのイモから、次のジャガイモができたり、根の変形であるサツマイモのイモから、次のサツマイモができます。
挿し木や接ぎ木は、この栄養生殖を利用しているわけです。
胞子生殖
カビやシダ植物、コケ植物は胞子で増えます。
コンブやワカメのような藻類も胞子で増えますが、これらの胞子にはベン毛があり、自分で水中を泳ぐことができます。
こうした胞子を遊走子(ゆうそうし)といいます。
無性生殖と有性生殖
これまで見てきた生殖方法は、精子や卵子という配偶子を使わずに子どもをつくる方法でした。
このように、配偶子を使わないで子どもを作る方法を無性生殖といいます。
普通の動物は、配偶子をつかって子どもを作る有性生殖です。
有性生殖なのにお父さんがいらない??
有性生殖というと、性が「有る」と書くので、オスとメス両方の性が必要だという印象をうけます。
しかし、必ずしもそうではないのです。
農家にとっては害虫で有名なアブラムシなどがその例です。
春から秋にかけては、メスしかいない集団をつくります。
この時期にメスが作った卵は、受精していないのに、どんどん分裂してそのまま次のアブラムシになります。
受精せずに卵だけで次の子供をつくる方法を単為生殖といいます。
しかし、秋が深まってくると、突然オスが出現し、受精を行って受精卵を作ります。アブラムシのオスは、この受精卵をつくる一瞬のためだけに生まれてくるのです。
なぜ、アブラムシはこのような生殖サイクルへと進化してきたのでしょう。
ヒトの生殖サイクルが、アブラムシのような生殖サイクルになっていないのはなぜなんでしょう。もしも人の世界に単為生殖もあったなら、と想像してみるのは面白いかもしれません。
よく考えたら、不思議ですよね。
こうした謎はすでに解明されているのでしょうか...
ミツバチの社会🐝
ミツバチの世界でも、似たようなことが起こっています。
受精で生じたものはメス蜂です。これらは、女王蜂か働き蜂になります。
一方、受精せず単為生殖で生じたものがオス蜂になります。そして、オス蜂は交尾すると死んでしまいます。
自然界をみると、このように、生殖のためだけの短い一生を送る生物は多いですよね。
性と生殖の多様な形は、人の生殖のしくみも見直すきっかけになりますよね。
生物と生殖、これらの多様な関係は、いろいろと興味深いです。
次回は、細胞の分化やクローンについて勉強していきます。