「情報」という概念が気になる
こんにちわ、メタです Follow @kyogoku_meta
情報ってなんだろう??
難しい哲学での考察や、情報理論などの科学でも扱う。人工知能、プログラミングだって情報科学に属します。さらには、日々のコミュニケーションや恋愛だって情報伝達です。これらに流れる情報という概念って一体何なのだろうとずっと気になっていました。そんな時に出会ったのが、西垣通氏の基礎情報学です!!!
それは、以下のような性格を持ちます。
・意味作用をあつかう
・「社会や人間と情報との関係」をとらえる
・情報、メディア、コミュニケーションというもの核とは?
・「いったい情報やコミュニケーションとは何なのか?」という根源的な問いからITの有効性、限界を見抜く
そして、基礎情報学のメインテーマがこちら。
意味作用に着目し、生命/心/社会をめぐる情報現象を、統一的なシステム・モデルによって論ずること
情報学は、世界を「情報」から眺めていく学問である。それは、従来の情報工学・情報科学では扱いが難しかった「意味」をふくめ、諸方面から情報を検討する。
わっくわっくしませんか????
けれど、結構難解です。今回は、基礎情報学における情報について、可能な限りまとめてみます。「情報についてこんな考え方をしようとしている学者がいるのだな」という発見を持ち帰ってもらえれば嬉しいです。
目次はこちらです。興味ある方、見ていってください。
- 「情報」という概念が気になる
- 1.1情報とは何か
- 1.2情報学の分類
- 1.3情報伝達と記号と意味内容
- 1.4記号量と意味内容の量
- 1.5生命情報と再帰的な内部発生
- 1.6記号と社会情報
- 1.7機械情報
- システムへ
さらに、考察の流れや中心テーマとして次のように著者は述べています。
「意味をつくりだす存在としての生命」から出発し、意味作用を担う情報が、社会的に伝達され記憶されていく基本的なメカニズムについて考察する。
・情報の意味作用はいかにして生まれるのか
・情報の意味はいかにして社会的に共有され、社会的リアリティを形成するのか
いやーーーー面白そう!!!
1.1情報とは何か
意味作用を重視するのがもっとも当たり前→「生命にとって意味、価値をもたらすもの」が情報である。
情報は生命と不可分。生物は生きるために、選択と行為をする。生存活動のための意味作用を起こすものが情報。
・情報は客観的なものではなく、生物の主観的な行為とともに出現する。つまり、情報は個別な主観的存在。
・人間の住む社会が、言語記号によって擬似客観的に記述可能という前提があるため、客観的情報が存在するように見えてしまう。
・情報は、物質とは別次元。情報は物質ではなく、パターン(差異や区別)である。紙やメールなどの物質は、情報を担うパターン。情報を「それによって生物がパターン(物質によって刻まれる)を作り出すパターン(差異)」と定義できる。
著者のウェブサイトからも引用しておきます。
情報とは、物質、エネルギーにつぐ第三の存在で、その本質は「意味作用」にあります。意味を理解するのは生物なので、情報が生まれたのは、生物が誕生した約35~38億年前。つまり、宇宙が約130億年前にできたとすれば、情報は100億年近くのあいだ存在しなかったということになります。僕は、情報とは「それによって生物がパターンをつくりだすパターン」であると定義しています。つまりまず、情報とは物質やエネルギーとは違ってパターン、形だということ。それから、自己言及的な性格を持っているということです。
1.2情報学の分類
1情報工学 コンピュータによる情報処理について
2応用情報学 様々な分野でのコンピュータ活用
3社会情報学 情報社会を人文・社会学的に分析
4. 基礎情報学 情報現象とは何かという根源的な問い 1~3のベースとなる(生命哲学、記号論、理論社会学、認知心理学などと関連が深い)
1.3情報伝達と記号と意味内容
情報とは伝達できるもの。しかし、意味内容は常に伝達されるとは限らない。会話中もよく誤解する。
シャノンの情報理論は、あくまでも記号の伝達についての議論であり、意味内容の伝達とは無関係であることに注意。
1.4記号量と意味内容の量
ビット、バイトなどは、あくまでも記号の量。
意味内容の量とは直接関係はない。意味内容は主観的判断に依存するし、測ることもできない。よって、意味内容の「量」などという値は存在しない。
1.5生命情報と再帰的な内部発生
情報は、生命情報 ⊇ 社会情報 ⊇ 機械情報という関係になる。生命情報(生物にとって意味をもたらすもの)がもっとも広義の情報。
・生物にとっての意味とは??
生物は認知し行為をしていく。その結果、意味は事後的に生成されていく。例えば、あるものを食べて栄養分になれば、そこに意味が生まれる。意味とは生物の試行錯誤的な行為の連鎖によって再帰的に形成される。そこで機能しているのが生命情報。
・情報と刺激は別
生命情報を外から取り入れるのではないということ。外から入るのは、単なる刺激。個人によって、脳の中で作り出す情報パターンは異なるし、個人の中で意味を持って初めて生命情報となる。
・再起的な連鎖
生命体の内部で、自らの意味構造に基づいて、自己循環的に情報を発生させる。→これがまた、自己の意味構造を変化させていく。
→次の記事に書く、「心的システム」でも注目です。
1.6記号と社会情報
・記号による共有
生命情報が、通用している記号によって記述されると社会情報になる。記号と意味内容が一体になったものが社会情報。しかし、記号と意味内容の関係は、相対的で流動的である。「犬」と聞いても、思い浮かべるイメージは人によって異なるよね。
個人的には、社会情報と社会学の定義(社会学が扱う範囲)との類似が見えてきて面白い。社会情報になれば、記号によって記述されている。それらを社会学は研究の対象にする。社会学が扱う対象の外側のことに言及する際にも、記号そのものの限界、生命情報という概念が役立ちそうである。以前に、社会学の限界について考えたものはこちらです。
1.7機械情報
時空間にまたがる意味内容の伝達をするために、記号だけを流通させる。記号そのもの=機械情報であり、最狭義の情報になる。その代表が文字。本来、社会情報も生命情報なのだから、同じ記号でも意味内容のズレは起こっていく。社会の組織、制度は、このズレを防ぐためにある。
・現代は情報の洪水
記号とは心にとっては刺激。あまりにも大量の刺激だと、解釈するだけのエネルギーが足りない。心が疲れてしまう。
浅く形式的に解釈する「大量処理」になってしまう→うすっぺらいハウツー本を何冊も読み流したり。さらに、複雑な論理は無視したり、自分と同じ意見だけに賛同したりという偏狭な態度につながってしまうと著者は警告する。
これら現代の社会現象を「基礎情報学」から読み解くというのは、面白いですね。
システムへ
今回は、情報についてまとめてみました。続いて、基礎情報学における「システム」についてまとめていきたいと思います。