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量子コンピュータ知りたい人の一冊目ならこれ【量子コンピュータが本当にわかる!】まとめ・感想

記事の内容

 

量子コンピュータの正しいイメージを持ちたい。

 

そんな人にぴったりの本を紹介する。

 

量子コンピュータが本当にわかる!

 

量子コンピュータが本当にわかる! ― 第一線開発者がやさしく明かすしくみと可能性 | 武田 俊太郎 |本 | 通販 | Amazon

 

実際に、量子コンピュータの最先端にいる研究者が書いた本だ。量子コンピュータの正しい理解とその実態を教えてくれる。もちろん、何の知識もいらない。

 

この記事では、本書の要点を私の感想も交えてまとめたい。

 

 

 

 

 

 

量子コンピュータが本当にわかる! ― 第一線開発者がやさしく明かすしくみと可能性 武田俊太郎

 

「未来を創る35歳未満のイノベーター」(MITテクノロジーレビュー「Innovators Under 35 Japan 2021」)にも選出された気鋭の研究者による量子コンピュータ入門!

東京大学大学院 工学系研究科 古澤明 教授 推薦!
「新進気鋭の量子コンピュータ研究者による画期的な本。
量子コンピュータの本質がわかる」

Googleが「量子超越性」の実証を発表するなど、量子コンピュータ周辺のニュースが世間を騒がせるようになってきました。一方で、華々しい話を強調しすぎるあまり、量子コンピュータに得体のしれないひみつ道具のようなイメージが広がり、実体をきちんと知りたい人にとって必要な情報はあまり提供されていません。

本書は現場を知り尽くした開発者が、詳しく知りたい読者に向けて、量子コンピュータもあくまで現代のコンピュータの考え方をベースに発展させたコンピュータの一種であることや、どこにどう量子の性質が使われてどういう場合に計算が速くなるのかなどを、かみくだいて解説します。また、現在実際に開発が進められている量子コンピュータについて、その種類や長所・短所、将来の展望などを述べます。量子コンピュータに興味を持たれた方の、最初の1冊としておすすめです。

 

amazon商品紹介より引用

 

 

 

 

コンピュータの本質

 

数学の計算を何らかの物理現象に置き換えて解く道具。

 

これが、コンピュータの本質である。

 

よって、物理現象として、量子力学を採用してみたらどうだろう、というアイデアが生まれた。

 

 

そもそものコンピュータの本質についての記述が明快。とても納得できる。

 

 

 

 

 

 

量子コンピュータで計算が速くなる、の意味

 

問題を解くための計算ステップ数を減らせる、ということ。計算1回1回の速度が速くなるわけではない。

 

量子コンピュータならば計算ステップ数を減らせる問題領域、というのがある。それ以外の計算は、今のコンピュータでも量子コンピュータでも、計算速度は変わらない。

 

量子コンピュータが有効な問題は限られている、という認識が重要。

 

計算論的な話題。計算問題や計算とは何か、という点までもっと深掘りしたくなる。量子コンピュータも、あくまでも現状の計算概念内にある、ということが大事。

 

 

 

 

 

並列計算するから処理が速いという誤解

 

量子重ね合わせにより並列に行った計算の中から、取捨選択して欲しい結果だけを探し出せる場合がある。この結果として、計算回数の節約が実現できる。

 

量子における干渉という現象が決定的に重要。重ね合わせや干渉という量子力学の概念にどこまで親しみを持てるか。やはり、量子にもっと慣れておいた方がいい。

 

 

 

 

 

重ね合わせ具合

 

量子的重ね合わせは、何によって決まるか?

 

・波の大きさの比。これは、複数の可能性を重ね合わせる割合を決める。

 

・振動のタイミングのズレ。干渉における強めあい、弱めあいの位置を変化させる。

 

2つの可能性が重ね合わさるとき、その重ね合わせ具合は2つの波の大きさの比と振動のタイミングのずれで決まります。重ね合わせになった状態を正確に説明しようと思ったら、「Aの可能性とBの可能性を、〇〇%と××%の割合で、波の振動のタイミングを△△分だけずらして重ね合わせた状態」と言う必要があるのです。

 

 

量子コンピュータは、重ね合わせ具合を変化させながら問題を解く装置である。

 

 

よって、量子コンピュータの作動原理は以下の2ステップに要約できる。

 

1 何通りもの計算を、重ね合わせで同時に行う。

 

2 干渉によって、当たりに相当する計算パターンだけを探し当てる。

 

当たりに相当するパターンだけを干渉によって探す?てことは、私たちは、あらかじめ当たりのパターンを知っているということだろうか?のちに紹介するグローバーの解法についても同様の疑問。

 

 

 

 

 

 

 

量子ビット

 

1と0の重ね合わせ状態。

量子コンピュータの最小単位。

 

n個の量子ビットを使えば、2のn乗個のパターンを同時に重ね合わせることができる。

 

ここでも、もちろん重ね合わせ具合が重要である点に注意。

 

量子コンピュータとは、単に情報を重ね合わせて並列に計算するという類のものではなく、たくさんの波を操って「重ね合わせ具合」をうまくコントロールしながら計算を行う、「波を使った計算装置」なのです。

 

しかし、測定すれば、1つの状態しか得られない。この制約に注意。よって、欲しい結果を得るために、干渉をうまく使う必要がある。重ね合わせと干渉、このどちらもが決定的に重要。重ね合わせだけで、計算が速くなるという理解はやや不正確。

 

干渉をうまく使うという点が大事。この本は、波のイメージを大事にしている店がわかりやすい。しかし、干渉のイメージについては、量子力学の一般向けの本でもっと学んだ方がいい。

 

 

 

 

 

量子論理演算

 

ビット演算の量子版。

 

・波を入れ替える

・タイミングをずらす

・干渉させる

 

量子ビットの重ね合わせ具合を表す波の形を変換する最小操作。

 

重ね合わせの状態にある入力を、重ね合わせ状態を保ったまま変換できる。測定しない間は、ずっと重ね合わせ状態を保てる。

 

 

重ね合わせ具合をどう操作するのか、という点が面白かった。もっと深く知りたいところ。

 

 

 

 

 

量子コンピュータで計算が速くなる=計算回数を減らせる

 

量子コンピュータも、現在のコンピュータも、解ける問題の範囲はおなじ。量子コンピュータが解ける問題は、時間とお金をかければ現在のコンピュータでも解ける。

 

量子コンピュータでうまく計算回数を減らせる問題領域の一般論はあまり分かっていない。

 

一般論が気になる。ここら辺の標準理論の最新状況はどうだろう?

 

 

 

量子コンピュータが得意な問題の具体例

 

「複数の候補の中から、条件に合うものを探し出す」系の問題に有効。

解き方として、グローバーの解法、という例がある。

 

どうやって計算回数を減らすのか?

 

  1. 解のすべてのパターンを重ね合わせで保持し、検証機に入力する。
  2. 重ね合わせ状態にある候補を、重ね合わせ状態を保ったまま検証を行い、当たりのパターンの波だけを干渉によって強める。重ね合わせを保ちつつ出力する。
  3. 出力をふたたび検証機に入力する。これを繰り返す。すると、当たりの波だけ、干渉によりどんどん強くなっていく。

 

波の大きさとは、確率の大きさのこと。よって、測定すれば当たりの波がわかる。

 

まさに、量子コンピュータとは、波を使って解く計算機のことである。

 

この解法は、データベース検索や最適化問題に応用可能。期待が高い。

 

うーん、やはり、当たりのパターンをあらかじめ知っている必要がありそう。検証系の問題群?だからこれでいいのか、、、

 

 

 

 

 

なぜ量子コンピュータを作るのは難しいか

 

量子がデリケートすぎるため。現状では、規模も小さいし、エラー訂正にも課題が大きい。まだまだ量子コンピュータはスタート地点。

 

量子の世界を想像してみる。

 

 

 

著書は光方式が専門

 

一つの光子を1量子ビットとみなす。

 

光子は比較的安定している。よって、特殊な環境を用意する必要がない。

 

しかし、まだまだ研究はスタート地点である。

 

研究のリアルが覗けて秀逸。これだけで、本書の価値がある。

 

 

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