記事の内容
この記事では、『(r)adius ラディウス』という映画を紹介したい。
記憶を失った男に宿る特殊能力をめぐる物語だ。
一応、SF映画なのだが、後半はガラッと異なる展開になっている。
この記事では、ネタバレ考察をまとめたい。
彼の宿った能力の意味はなんだったのか、が特に気になる。
まだ見ていない方は、ネタバレにご注意ください。
それでは、目次をどうぞ。
ラディウス あらすじ
記憶を失って目を覚ました男、リアム。
そんな彼には、ある能力が宿っていた。それは、近づく生命の命を奪うというもの。
彼を中心に半径15m以内に近づいた者は、瞬時に死んでしまう。
リアムは、徐々に自分に宿った能力を自覚していくのだった。これ以上、命を奪うわけにはいかないと、一人で小屋に閉じこもるリアム。
そんな彼に、同じく記憶をなくした女性ローズが接触してくる。
ローズだけは死なない!
ここで明らかになるのが、ローズはリアムに近付いても死なないということ。このことから、二人は同様の何かに巻き込まれたのでは、と推理する。
そして、この映画の面白い設定がこれだ。
ローズと一緒にいる時だけ、リアムの能力は抑えられるということだ。
強制的に発動しているリアムの力を、ローズがそばにいることで一時的に抑えることができる。この設定を活かした展開は、新鮮で面白かった。二人は、決して離れないように奮闘する。誰の命も奪わないために。
リアムとローズは、身体を診察してもらうために病院に行く。ここで、トラブルが起こるのがエレベーターである。
リアムだけがエレベーターに乗り、ローズとはぐれてしまうのだ。階段を使い、必死にエレベーターを追うローズ。二人の距離という条件がいかされた良いシーンだった。
奇妙なバディものの映画とみることもできる。
リアムとローズの絆は、徐々に深まっていく。
ローズの夫と再会 双子の姉の存在
そんな中、リアムとローズは、ローズを探していた夫サムと再会する。
リアムの力を目の当たりにして、二人を匿うサム。そして、ローズについて情報が明らかになる。
ローズは双子で、ローズの姉であるリリーが行方不明になっていたというのだ。その姉を探すために、ローズは奮闘していた。
そして、二人は思い出しつつある記憶を元に、ある小屋にたどり着く。
リアムの正体
その小屋の持ち主は、どうやらリアムのよう。
ローズは、その小屋にあったノートを発見する。そのノートには、これまで殺害してきた被害者たちについての情報が書かれていた。シリアルキラーのメモ帳だったのだ。
ここで全てを思い出すローズ。
行方不明の姉を探していた末にリアムと出会い、そのリアムこそが姉の命を奪った犯人だということ。そう、ずっと一緒にいたリアムは殺人鬼で、姉の仇だったのだ。
時を同じくして、リアムも自分がシリアルキラーだということを思い出し、混乱する。
ローズの命も奪おうとしていたところに、謎の落雷が落ちたのだった。それにより、記憶を失い謎の力を得た。
リアムの選択
ローズはリアムに銃を向ける。リアムには、それほど抵抗する様子はない。
そこに、不良グループが現れ、指名手配されていたリアムを捕まえようとする。
リアムの力で、不良グループは全員死んだものの、ローズは銃で撃たれてしまう。
ローズを病院に運ぶリアム。
彼は、ローズが運ばれていくのを見届け、自らの頭を撃ち抜く。
それがこの映画のラストだ。
ドンでん返し映画?
彼が得た能力についての謎は、なにも明かされない。ここが、この映画の不満なところだろうか?
いや、この物語のテーマは、特殊能力そのものではない。
物語の骨格は、記憶を失った男女のどんでん返しだからだ。
SF映画かと思ったら、サスペンス映画だったのである。
SF映画なら、もっと特殊能力の素性について掘り下げるはず。おそらく、この映画を手に取った方は、この展開を期待していたはずだ。そうした人にとっては、かなり不満が残ってしまうかもしれない。
リアムと能力 考察
リアムと、彼が得た能力について考察してみる。
彼は、もともと近づくものの命を奪うシリアルキラーだった。
そんな彼に、半径15m以内に近づく者の命を奪う能力が宿る。
ここでは、二つの解釈をしてみたい。
・他者の命を奪いたいという彼の願望が実現化したもの
・もう彼に命を奪わせないために、彼を孤独化させるもの
どちらの可能性が高いだろうか?
私は、「これ以上命を奪わせないために、彼を孤独化させる力」と解釈したい。
なぜなら、彼は記憶を失うとともに、殺人衝動も失ったからだ。まるで、彼の性質までもが変化したようだ。つまり、リアムの身に起こったのは、ただの記憶喪失ではない。
彼の根本的な性質、性格までをも変化させるような何かだったのだと思う。記憶喪失は、その副作用のようなものかもしれない。
彼の変化の証拠こそ、この映画のラストだ。彼は、自分の命を終わらせることを選ぶ。
性格が変化した彼は、人に近づくことすらできない。
唯一近づける存在、その人にとって大切な人の命を自分は奪っている。
「後悔の念と孤独」という罰が、彼の身に起きたことの意味だったのではないか。
罰というキーワードからは、宗教的なイメージが浮かぶ。宇宙からの謎の落雷というのも、どこか宗教ぽい。
みなさんはどう感じただろうか?
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