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Netflixにて配信開始されたドラマ『瞳の奥に』
精神科医である夫デイヴィッド、その妻アデル。デイヴィッドの不倫相手になってしまうのが、主人公ルイーズ。この三者の三角関係がメインの物語です。
次第に明らかになっていくのが妻アデルの異常性。そして、彼女の精神科の患者時代の過去の回想も挟まれていきます。そこに登場するのがロブという男。見ていくうちに視聴者にはある疑問が浮かびます。
ロブはどこに行ったのか?
この問いこそ、この物語の根幹に関わるものです。
そして、よくあるサイコサスペンス系の作品かと思いきや...
怖すぎるオチが一部で話題になっています。この記事では、ネタバレありで内容の解説と考察をしていきます。それでは、目次をご覧ください。
2段階のオチ 幽体離脱と入れ替わり
この作品の流れを決定づけた要因は次のようなものだ。
・幽体離脱が訓練次第で可能なこと
・魂が抜け出た身体に、別の魂を入れることで身体を乗っ取ることができること
劇中では、身体から抜け出た魂のことをアストラル体と呼んでいたが、ここでは、魂という言葉で統一する。
一気にオカルトな特徴だ!!
この特徴が明らかになるまでは、人間心理の怖さというサイコサスペンスものだけの面白さだった。しかし、今作の最大の仕掛けこそ、この幽体離脱のシステムだったのだ。
この特徴のせいで、一気に現実離れしてしまい受け入れられなかった、という感想も多い。みなさんはどう感じただろうか。
個人的には、意外性もあり楽しめた。そして、この意外性だけではなく、序盤からのカメラ視点の画角など、伏線が丁寧なため納得できた。まるで、鳥が見ている視点のように、人間の視点とは異なった絵面がたしかにあったような気がする。
精神病院などの描写が目立っていたため、人間心理の異常さがテーマだと感じた人は多いと思う。だからこそ、それをどう解釈するのかという点に期待したくなるだろう。その場合、超常現象をもってくるのは拍子抜けな感もやはりある。
しかし、この作品のオチは、幽体離脱により人格が入れ替わるということだけではなかった。続きがあった。なんとアデルの正体はロブだったのだ。本来のアデルは、ロブの策略により、ロブの身体にはいったまま死亡していた。
アデルを愛したデイヴィットは、ロブをアデルだとおもっていたのだ。ロブのために、愛したアデルの死体を遺棄していたのだ。なんてかわいそうな男なんだ、、、デイヴィット。
この2段階のオチのおかげで、評価は高くなったとおもう。幽体離脱というシステムの奇妙さを忘れて、人間心理の怖さというテーマに回帰しているのだ。ここがおもしろい。
(c) Netflix 瞳の奥に
このアデルの存在感に惹きつけられる
伏線 魂の色 ロブの狙い
魂の色にも注目したい。アデル本来の魂の色は、ピンク色なはずだった。しかし、現在のアデルの色は青だ。これは、過去にアデルの中身がロブになっていたせいだ。
ロブがデイヴィッドに好意を持っていたことも間接的に描かれている。ロブがアデルの屋敷で幽体離脱をして、デイヴィッドとアデルの性行為を覗き見していたときだ。ロブが見ていたのはアデルではなくデイヴィッドの方だった。
今後はどうなる?考察
デイビッドの方に、とくに異常性は見られなかったことは拍子抜けだろう。彼とアデルの関係には、彼の狂気的な側面も見え隠れしていた。しかし、結果的には、過去に囚われていただけの男だった。ミスリードの役割だ。
彼は、アデルを守るために、ロブの死体を遺棄するのを手伝った。これが負い目になり、彼はアデルと離れることができなかった。精神科医なのに、アデルに依存することになっていた。
この物語で、彼は永遠に真実を知ることはない。だから、ロブの手のひらの上で踊り続けるしかない。一時的には幸福は得られる。しかし、ロブはまた不安定になり、また次のターゲットを探すだろう。デイビッドが、1番の被害者であり続けるのかもしれない。
それに、ルイーズの息子であるアダムの安否も気になる。ロブにとって、アダムは1番の邪魔者だ。原作では、アダムを排除することを暗示してこの物語は終わる。「デイビッドと一緒にいるためならなんでもする」というロブの異常性が強調される終わり方と未来だと思う。
怖すぎる。
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