記事の内容 認知科学のここがすごい
- 「心のはたらき」にあらゆる角度から迫れる
- 文系理系を統合する視点
- 従来の科学に縛られない新しいアプローチが取られる
- 心を対象にするので、科学だけにおさまらない
- 哲学と科学の境界が浮き彫りに
認知科学という学問分野をご存知でしょうか?
心に興味がある方にはとてもおすすめな分野です。上のようなテーマが気になった方向けの記事になります。
それでは、目次をどうぞ。
認知科学入門
この本から、いくつかの基礎的なテーマをまとめてみる。
認知科学という考え方と「情報」
認知科学は、心や脳を情報処理システムとみなす考え方を基調としている。
複数の対象がお互いに影響を及ぼし合うことを「相互作用」と呼び、相互作用する要素の集まりのことを「システム」という。心は、感情や社会性や記憶や思考などのいろいろな要素が相互作用するシステムである。
システムには、そのシステムの各時刻の表現として、「内部状態」ないし「状態」が定義される。
ここではさらに、認知科学の中心的方法、モデルについて考える。モデルという概念は、あらゆる科学という営みにとって基本的な姿勢だ。だから、その取り扱い方を間違えば、科学が崩れる。モデルというアプローチ法そのものに、は科学哲学の分野から議論されることも多い。個人的には、これらもとても興味あるが、認知科学に絞ろう。
モデルとは?
心(脳)のモデルとは、心(脳)の構造や機能のうち説明の目的に照らして大事だと思われる特徴を抜き出し、それらの間の関係を整合的に表現したものである。
この説明はとてもわかりやすい。あくまでも、説明の目的が先だ、ということだ。その前提があり、初めて抽出された要素は意味を持つ。それに、抽出の仕方をどうするのか、という問いにも答えようとしている。
構造主義と機能主義の統合へ
心や脳の構造をまず考える構造主義と、はたらき(機能)を問題にする機能主義。
心の機能主義は、人間の活動における心のはたらき(機能)を正面に据える。さらには、何のために心がはたらくのかという目的論的な考え方にも傾斜する。
脳については、構造に関しては解剖学が、機能に関しては生理学が、長年にわたって協調と競合を繰り返しつつ、多くの成果をあげてきた。
局在論と全体論
心や脳のはたらきが、心、脳の一部から生じるのか、それとも全体から生じるのだろうか。脳神経系の研究の成果により、機能局在論の知見が集まってきている。一方、ゲシュタルト心理学派など、全体が個々に先立つという全体性の原理も明らかになってきている。
一元論と二元論
脳の研究をすれば心がわかるのか?心の研究を重視する人、脳の研究を重視する人で意見が異なることが多い。著者の安西氏は、以下のような指摘をする。
簡単に見える心のはたらきでも、それを脳の機能の用語だけで説明しようとすると途方もなく複雑になり、とても説明し切れないからである。
心の複雑さを脳科学の言葉で説明しようとすると、単純にはいかない。心の範疇にある語彙と、脳神経科学の範疇にある語彙、これらが精緻に合致、または重なり合うことは難しいだろう。カテゴリーミステイクという哲学的誤謬も生じる。
心のはたらきの多様さを神経科学の言葉で表せるのか、いや、それは無理がある、と私も思う。
よりくわしくは、次の記事へと進んでみてほしい。脳と心の一筋縄ではいかない「関係」を理解するべきだと思う。
経験主義と合理主義
合理主義としては、チョムスキーの生成文法が有名だ。これは、言語を使うための構造と機能は、他の能力とは独立の、生物としての人間に備わった生得的なものだという考え方である。
現代では、経験主義だけでも、合理主義だけでも、説明不足になる。
実際には、心のはたらきの発達過程には、極端な経験主義も極端な合理主義もあてはめることはできない。人間は遺伝的因子をもって生まれるが、その一方で外界との相互作用が心の発達に大きな影響を与える。
松岡正剛の千夜千冊
博覧強記な松岡正剛も、この本について書いている。本の内容に加え、彼の意見がやはりすごい。
特に、方法と情報の関係についての考察が深いとおもう。ぜひ、チェックしてみてほしい。
まとめ
脳と心の関係を探る学問について、興味を持ってもらえたでしょうか?
他にもオススメの本を貼っておきます。
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