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統合失調症の一族【感想・紹介】事実は小説よりも奇なり

記事の内容

この記事では、

 

統合失調症の一族

 

統合失調症の一族: 遺伝か、環境か

https://amzn.to/3QbOLEN

 

という本を紹介します。

 

まさに、

事実は小説よりも奇なり

と驚嘆するストーリーです。

 

この本を読んだ私の感想を中心に紹介します。

 

話題の一冊であり、とても面白い一冊です。

 

それでは、目次をどうぞ。

 

 

あらすじ

 

【本書概要】
第二次大戦後、ギャルヴィン一家は空軍に籍を置く父親の都合でコロラド州に移り住む。ベビーブームを背景に12人の子宝に恵まれた一家だったが、1970年代半ばには子供のうち6人が統合失調症と診断された。厳格な父母によって育てられた容姿端麗で運動能力の高い息子たちは、なぜ次々に精神疾患に見舞われたのか?
一方で、サイコセラピーと抗精神病薬による療法が主流だった当時、遺伝的側面から統合失調症の原因究明や治療・予防法の発見を目指す研究者たちがいた。彼らはギャルヴィン家の人々と出会い、様々な検査等を通じて、統合失調症にかかわる遺伝子を突き止めていく――。

精神医療研究に多大な影響を与えた一家の姿を通して「病」と「人間」の本質を問い、各メディア年間ベストブックを総なめにしたノンフィクション!

Amazon商品紹介より

 

 

 

 

 

一つの家族を描くドキュメンタリーとしてとても秀逸

 

とてもとても稀なある家族の物語。

 

徹底的に事実に基づいて、家族の姿を浮き彫りにしていく。

 

始まりは、この家族の両親が出会うところから。

 

基本的に、時系列に沿って淡々と進んでいく。

 

やがて、彼ら夫婦は、12人もの子どもを持つことになる。

 

そして、この子どもたちのうち半数、つまり6人が精神に異常をきたしてしまうのである。

 

この特殊性、しんどさがものすごい。

 

この異常さを、母親の視点や末っ子である妹二人の視点、専門医の視点などで、私たち読者は体験していく。

 

 

 

 

そもそも統合失調症って?

 

病気に関わる説明はできるだけ慎重に行いたい。

きちんと引用します。

 

統合失調症は、現実とのつながりの喪失(精神病)、幻覚(通常は幻聴)、妄想(誤った強い思い込み)、異常な思考や行動、感情表現の減少、意欲の低下、精神機能(認知機能)の低下、日常生活(仕事、対人関係、身の回りの管理など)の問題を特徴とする精神障害です。

統合失調症 - 10. 心の健康問題 - MSDマニュアル家庭版

 

この本で印象的な症状は、やはり幻覚や妄想だろう。

 

徐々に、現実がわからなくなり、自分自身の妄想にコントロールされていく様が描かれる。

 

そうなると、家族の声は届かない、機能しない。

本人にも、誰にも、その妄想はコントロールできない。

 

そして、厄介なことに、そうした妄想のせいで、自分自身や他人を傷つけてしまう。

 

実際に兄弟のうち1人は、自分の奥さんを撃ち殺し、自分も自殺してしまう。

 

想像してみて欲しい。

愛する家族が、このように変貌してしまうのだ。

この病気の恐ろしさがわかる。

 

 

 

 

お母さんのミミが凄すぎ

 

次々に、精神がおかしくなっていく息子たち。

 

そんな息子たちを、母であるミミは懸命にサポートする。

この母のガッツが凄すぎる!!

 

たった1人で、何人もの子どもたちの面倒を見つつ、病気のサポートも頑張る。それに当時は、統合失調症の解明も全然進んでいない。

 

母親の育て方が悪いせいだ、なんていう主張が流行った時期まである。世間の風当たりは強い。

 

そんな中、母親であるミミは、懸命に母親を全うしようとするのだ。

 

 

 

 

 

末っ子である妹たちの物語

 

12人兄弟の末っ子は、妹2人だ。

 

彼女たちは、小さい頃から、兄たちがおかしくなっていくのを目の当たりにする。

 

家の中がまるで戦争状態だ。

 

大の大人である兄たちが、幻覚や妄想に取り憑かれ、家の中で暴れているのだ。

 

だから、母親は兄たちの面倒につきっきりだ。

 

妹たち2人が小さなころから暮らす環境は、本当に壮絶な環境だとおもう。

 

彼女たち2人の成長と人生も丁寧に描かれる。

 

 

 

 

 

統合失調症という病気との戦いの歴史

 

科学の発展の歴史も描かれる。

 

精神病の科学。

 

統合失調症の解明には、長い時間がかかってしまう。本書でも、この病気が解明されるまでの過程が描かれる。

 

大きな問いはこうだ。

 

統合失調症は、遺伝のせいなのか?それとも育ちのせいか?

 

この混乱のせいで、一家は苦しむ。それに有効な治療があまりなかった。

 

そんな中、ある熱心な科学者が現れ、遺伝学的なアプローチで、ついに精神疾患を研究する動きが高まっていく。

 

そして、科学者たちがたどり着いたのがギャルヴィン一家だ。彼らの症例は、とても貴重なサンプルになったのだ。

 

 

 

 

まさかのエンディング

兄弟たちの末っこである妹が成長し、子をうむ。

 

その子が、なんと統合失調症の研究者になったのだ。

 

希望を感じるラストだった。

 

 

 

読みたい方は是非本書へ。

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