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日本ミステリ史に残る傑作!! 首無の如き祟るもの【感想・ネタバレ解説】

記事の内容

 

この記事では、

 

首無の如き祟るもの

 

というミステリー小説を紹介します。

 

個人的に、日本ミステリ史に残る名作だと思います。

 

テーマは、首無し死体です。

 

ミステリにあるあるなテーマですよね。このありきたりそうなテーマが、どうやって傑作に昇華しているのか。

 

私の感想とネタバレ解説をまとめます。

それでは、目次をどうぞ。

 

 

 

 

感想

 

怖いし、めっちゃミステリ。

 

この作品は、シリーズの三作目です。

 

シリーズの特徴として、しっかりと怪異の部分が怖くて面白い。

 

そして、そうした怪異がミステリの核心にうまく絡み合っているのが凄いところです。

 

今作では、首無し伝承という怪異と実際に起きてしまった首無し死体事件が融合しています。

 

そして、この首無し死体のトリックが素晴らしいのです。

 

このトリックだけではなく、本作のラストには衝撃的な展開が待ち受けています。どんでん返し作品としても、かなりのレベルです。

 

 

 

 

ネタバレ解説

 

事件1 儀式中に起こる殺人、塔という密室での人間消失

 

事件1のポイントは、人間の消失です。

 

しかも、密室である塔の中で。

 

入れ替え

育て役のカネ婆は、男の長寿郎を守るため、ある呪術的な仕掛けを施します。

女であるヒメコを、男の長寿郎として育てる。

男である長寿郎を、女のヒメコとして育てる。

 

今回の事件で殺されたのは、男である長寿郎でした。その異変に気がついた、男として育てられた方のヒメコが、塔の途中で引き返していたのです。だから、塔のなかで人が消えたのではなく、普通に途中で降りただけだったのです。塔の外からこの様子を眺めていたヨキタカだけにとっての密室だったのです。

 

謎を謎のままにしていたのは、本当は女である長寿郎の機転でした。全ては、本当に男である長寿郎の死を隠蔽するためだったのです。

 

この事件の結果、本当は女であるのに、男の長寿郎として今後も暮らしていくことになります。これが、第二の事件の構造につながります。

 

 

 

 

事件2 婚姻の儀式中に起こる首無し殺人事件

 

婚姻の儀式中に、花嫁候補の一人であるマリコが殺され、首無し死体になります。

さらに、長寿郎の姿も消え、彼は、外で首無し死体になって発見されます。

 

ここで、事件1の方の性別の入れ替えの結果、男の長寿郎は実は女であることがわかります。つまり、首無し死体で発見された男は、本当は女である長寿郎ではないということです。

 

では、この死体の正体は誰か?

 

この村に招かれていた江川蘭子という作家です。この江川を殺し、長寿郎の死体に仕立て上げたのは、殺されたと思われていたマリコだったのです。つまり、謎を仕上げたのは、マリコです。

 

つまり、儀式中に殺され、首無し死体となっていたのは、男のふりをしていた長寿郎です。彼の正体は女なので、その事実を知らない人から見ると、マリコの死体に仕立てることができたのです。

 

ここまでの入れ替えトリックを咄嗟に実演したマリコ、恐るべし。

 

 

事件1、事件2共に、核心は性別の入れ替えによる死体特定の誤認ということなのです。

 

 

 

 

さらにどんでん返し 作中小説の作者

さらに今作が素晴らしいのが、どんでん返しが待っていることです。

 

この作品は、小説の中の小説という形を取られています。

 

小説の中の小説の作者は、高屋敷妙子です。当然、小説の作者が犯人だと疑うことは、作中で否定されています。

 

ところが、この否定をうまく利用するのです。

 

なぜなら、途中で、真犯人であるマリコが妙子を殺害し、入れ替わっていたのです。つまり、作中小説の作者の入れ替えというトリックが読者を待っていたのです。

 

この入れ替えにより、作中小説の作者が犯人であるという禁じ手をうまく成り立たせています。

 

 

 

さらに、さらにどんでん返し 探偵は誰か

 

この真犯人マリコを追い詰めたのは誰でしょう?

 

おそらく、成長し姿を消していたキヨタカです。彼が、探偵役でる刀城言耶になりすまし、マリコを追い詰めます。

 

シリーズの探偵役である刀城言耶が、探偵役として今作に登場しない、というとんでも展開なのです。

 

こうした、何重にも張り巡らされた謎を、私たち読者は楽しめます。

 

 

 

 

 

 

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